侵Q70

部品について商標登録されていない国で、当該部品を使用した完成品が販売された場合、他人の当該部品にかかる商標権を侵害することがあるでしょうか。

質問

当社はかばん用の金具を国内外で製造、販売しています。当社が金具を製造、販売している国では金具についての商標登録をしています。しかし、最近当社金具を使用した製品(かばん)が、当社が商標登録していない国で販売されていることを知りました。当社金具の商標は外側から見ただけでは認識できません(金具を外して裏返さないと見えないものです)。
 もしもその国で他人が当社の商標に類似する商標を金具について登録していた場合、当社の金具を使用したかばんの販売は他人の商標権の侵害にあたるでしょうか。

回答

1.かばんの金具に付された商標が、商標として機能するかどうかについて検討してみます。
 通常かばんを購入する場合には、かばんの商標には注意を払いますが、表面から見えない金具の商標は目に入らないと思います。つまり、かばんの商標のみが自他商品識別標識、出所表示標識として機能しているということです。
 よって貴社の金具を使用したかばんが外国で売られ、その外国で他人が貴社商標に類似する商標を金具に登録していたとしても、金具の商標が、その金具を外して裏返さなければ見えないならば、一般的には商標権侵害となることはないと考えられます。

2.アミロック事件(註1)では、完成品(加湿器)の内部に使用された部品(管継ぎ手)は完成品の一部として組み込まれたものにすぎず、この場合「管継ぎ手」は独立して流通する物ではない等の理由から、その商標は完成品である「加湿器」に使用されているものとはいえないと判断されました。
 一方、パチスロ機事件(註2)では、パチスロ機の部品として組み込まれたCPUに付された商標は、パチスロ機の部品であるCPUの商標であるものと認識でき、かつ外部からその商標を視認することができること等から商標として機能し、他人の商標権を侵害すると判断されています。
 よって、貴社製金具の商標が外側から見えるように使用されており、第三者がその商標と類似する商標を登録しているならば、貴社製金具についての商標の使用が商標権侵害となる可能性を否定できません。
 この場合、第三者が貴社商標と類似する商標を「かばん」に登録しているのか、あるいは「金具」に登録しているのかによっても結論が変わる可能性があります。

3.一方、自動車の部品であるハンドル等の商標が他人の権利を侵害している場合には、税関で輸入が差し止められることがあります。
 よって、貴社金具の商標が外部から見える位置に表示されている場合にはその金具を使用した製品が税関で差し止められる可能性があり、他人の商標を侵害しないような配慮(事前の調査、権利取得)が必要です。

4.なお、貴社製の金具が使用されたかばんが販売されることにより、貴社製品の商標が知られ、その販売がされている国で第三者による盗用の出願がされる可能性もありますので、念のため、貴社製品を販売・製造している国はもとより、貴社製品を使用したかばん等が販売されている国においても商標登録をされておかれることをお勧めいたします。
 ちなみに、中国でこのようなかばんを販売した場合、金具の裏の商標が通常見えないならば、商標権侵害といわれることはないと考えられます。

参考情報
  • (註1)昭和62年(行ケ)第150号
  • (註2)平成8年(あ)第342号

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