侵Q69

商標の国際登録を取得する方法について教えて下さい。

質問

最近、当社商標Xが外国で他人によって登録、使用されていることがわかりました。当社は海外へ進出を予定しているのですが、その外国では商標Xを使用することができないため、あらたに商標Aを選んで、進出を予定している国全て(中国、ベトナム、シンガポール、インド、米国)で登録しておこうと思います。その際、マドリッドプロトコルによる商標の国際登録出願(以下、国際商標出願という)という方法があると聞きました。
 どのように手続きを進めればよいか教えて下さい。

回答

1.商標の国際登録出願は出願人の本国(貴社の場合は日本となるでしょう)の特許庁を介して国際事務局(WIPO:世界知的所有権機関 http://www.wipo.int/portal/en/index.html)に対して出願手続を行い、各指定国において権利を取得する制度です。
 商標の国際登録出願をするためには、まず本国(貴社の場合は日本)で基礎となる登録あるいは出願を有していることが必要です。まだ日本で商標Aを登録していない場合にはまず日本で出願をしましょう。その場合、国際登録出願の基礎となる出願ですから、確実に登録される商標を選ぶ必要があります。もしも国際登録出願の基礎となる出願、登録が国際登録出願した商標の国際登録日から5年以内に失効した場合には国際登録全体が失効することとなるからです(これを「セントラルアタック」といいます)。
 確実に登録される商標を選ぶためには、商標調査を行っておく必要があります。商標調査はなるべく専門家(弁理士、弁護士)に依頼し、信用性の高い結果を得ておくことをお勧めします。

2.国内での出願は、国際登録出願の基礎とすることを考慮し、原則としてアルファベットで表示するべきです。また、指定商品・役務についても専門家と相談し、外国で権利化する場合に適切に保護されるような記載としなければなりません。WIPOのHP(Madrid Goods and Services Manager)で各指定国で認められる商品・役務の表示かどうかを確認することができます。(註1)
国内出願から6か月以内に国際登録出願する場合には、優先権の主張をすることも可能です。

3.国際登録出願は、定型の出願フォーム(MM2)を使用して本国官庁である日本国特許庁に行います。
 米国については、標章を使用する意思の宣言書(MM18)に署名して願書に添付することが必要です。国際登録出願によって米国で登録をしても、実際に商標を使用しなければ権利行使することはできません。使用している場合には、その証拠として、商品の写真、取引書類の写し等を保管されることをお勧めいたします。
 出願費用は、出願前にWIPOへ納付します。
 願書は日本国特許庁へ提出し、WIPOへ送られますが、指定商品・役務の記載等に何等かの欠陥があれば欠陥通報を受けることになります。

4.各指定国に出願が移行された後は各国の制度、法律に従って出願が処理されます。先行商標について審査をしない国も多いのですが、1年あるいは1年6か月以内に最初の暫定拒絶通報が発せられない場合には、登録が許可されたとみなされます。各指定国で登録が許可された場合には各指定国の特許庁から登録査定が発行されます。各指定国での最新の状況についてはWIPOウェブサイトのMRS(http://www.wipo.int/mrs/IndexController?lang=EN)で確認できます。

5.もしも各指定国で暫定拒絶通報が発せられた場合には、指定された期間内に現地代理人を通じて各指定国の特許庁へ応答する必要があります。応答する際には、現地の代理人を通じて意見書、補正書等を提出することになりますので、現地代理人を選定しなければなりません。
 又は、指定商品・役務の減縮のみであればWIPOにMM6のフォームを提出することも可能です。
 暫定拒絶通報が一部の指定商品・役務にのみ関するものであれば、応答しないことによって一部登録となる国もありますが、専門家とよく相談して応答する、しないについて判断してください。

6.上述のとおり、国際登録から5年以内に基礎登録あるいは基礎出願が失効した場合には、国際登録全体が失効します(セントラルアタック)。その場合、各指定国において、国際登録の日を出願日として維持しつつ各指定国での国内出願をすることが可能です。

7.国際登録出願の領域指定について各指定国で商標登録されたかどうかは、WIPOのウェブサイトから確認できます(ROMARIN http://www.wipo.int/romarin)。
国際登録の更新は、WIPOへ手続きをすることにより可能です。また、移転、表示変更等の手続きも一括して申請することができますので、このような点で国際登録は簡便な制度です。
 今後、加盟国が増加する予定ですので、外国で商標権を取得するうえで益々商標の国際登録制度は重要になると思われます。
 さらに詳しい情報をお知りになりたい場合には、WIPO及び特許庁のウェブサイトをご覧ください(註1及び2)。

参考情報

本QAは特許庁委託事業「外国産業財産権侵害対策等支援事業」において作成されたものです。
事業内容等は本事業サイト(http://www.jpo.go.jp/index/kokusai_doukou/iprsupport/index.html)をご確認下さい。