侵Q68

当社はウェブサイト上で商品を販売しており、輸出も考えています。商標法上問題はありますか。

質問

当社は文房具の商標「X」を日本で商標登録しています。今般、自社で製造し、商標「X」をつけた文房具をインターネット上で販売することになりました。販売用のウェブサイトは日本語ですが、外国から購入の申し込みがあれば、外国へも発送したいと思っています。インターネット上のポータルサイトにも出店する予定があります。商標法上何か問題が起きる可能性があるでしょうか。

回答

1.商標を付けた商品をインターネット上で販売する行為は、実際にウェブサイト上で商品のやり取りをするわけではないので、「販売の申出」であると捉えられています。そして、ウェブサイト上に商品の写真、価格等を表示する行為は、商標法上の商標の使用にあたります(商標法第2条第3項第8号)(註1)。つまり、商標「X」を付けた文房具をインターネット上で販売する行為は、商標「X」を付けた文房具を普通の店舗で販売するのと同様の意味合いを有しますから、ある国へ発送する場合にはその国で商標を使用していることになる場合があります。
 貴社の場合、日本で「X」を商標登録されていますので、日本において商標法上の問題が生じる可能性は低いと思われます。

2.しかし、外国で「X」が使用された文房具を販売する場合、その国で他人が文房具について「X」を商標登録しているならば、その他人の商標権を侵害することになる可能性があります。多くの国では、インターネットを介して商品を販売することは商標の使用と考えられています。
 実際に販売しなくても、単にインターネット上で広告するだけで商標権の侵害とみなされる国もありますので注意が必要です。ですから、商標権を取得していない国については、商品を発送しないこと、また、ウェブサイト上で「○○国以外へは発送できません。」というような記載をすることをお勧めします。

3.最近では、ポータルサイトに出店する際に、商品販売前に商標権取得の有無について確認を求められることがあります。よって、安全かつ確実に商品を販売するために、商標を決める際には必ず商標登録することが賢明です。

4.さらに、いわゆる越境ECサイトを通じて海外へ商品を販売するというビジネスが増加しています。このようなサイトで商品を販売することは、商標の問題としては外国で商品を販売すること、また店舗を開くこととほぼ同じ意味を有します。つまり、そのサイトの名前(店名)や、そこで販売する商品の商標は、商品が販売される国で使用されていることとみなされる可能性があります。
 よって、商品を販売する国においてその商標が第三者によって登録されていれば、その商標権を侵害することにもなりかねません。また、販売した先の国の税関で商品が差し止められることもあり得ます。
 サイト名と同一・類似の商標が小売サービスについて登録されている場合には、サイトを運営すること自体が侵害となり、警告等を受けることも考えられます。
 このようなリスクがあることをよく理解したうえで、越境ECサイト開設にあたっては販売対象国における商標調査を検討されることをお勧めいたします。

参考情報
  • (註1)商標法第2条第3項第8号 商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為

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