侵Q67

キャラクターの使用許諾を受けて、国内でフィギュア原型を作成し、中国の製造会社に生産委託し、それを輸入して国内で販売している。しかしながら、近年、同フィギュアを複製した模倣品が外国から輸入されている。法的な対策を取れないだろうか。

質問

弊社は、アニメに登場するキャラクターのフィギュアを製造販売する会社です。国内でフィギュア原型を作成し、中国の製造会社に製造販売を行い、それを輸入して国内市場で販売しています。しかしながら、近年、同フィギュアをデッドコピーした模倣品が海外から輸入されて困っています。同キャラクターの著作権などに基づいて、なんらかの法的な対策を取ることができないでしょうか。

回答

1.キャラクターの著作権者の確認
 ご相談のケースでは著作権が侵害されている状況が生じているのは明らかです。したがって、著作権侵害を理由に同デッドコピー品の販売差し止め請求を裁判所に求めることが可能ですし(著作権法112条)、また、海外から日本に輸入される侵害物品の輸入差し止めを税関に対して請求することもできます(関税法69条の2 1項)。
 しかしながら、注意が必要なのは、これら差し止めの請求を行い得るのは、著作権者であるということです。デッドコピーの対象となったフィギュアの製作者がたとえ貴社であったとしても、貴社がフィギュアの基になったキャラクターの著作権者でなければ、キャラクターに関する著作権を行使することはできません。

2.立体化と二次著作物及び二次的著作物の著作権者
 平面として描かれたキャラクターの絵柄を貴社が立体のフィギュアとして製作しているので、その立体化に創作性があるとして二次的著作物と認められる場合もあります。しかしながら、大きなデフォルメや独自の解釈に基づく改変が行われていればともかく、単純に平面の絵柄を立体化したに過ぎない場合は二次的著作物となりません(「チョコエッグ事件」大阪高判H17.7.28 平成16年(ネ)第3893号)。
 また、立体化したフィギュアが二次的著作物として認められ、二次的著作物としての著作権が発生する場合であっても、その著作権者が誰かが問題となります。フィギュア原型を貴社の従業者が制作した場合は職務著作規定により貴社が著作者となりますが(著作権法15条1項)、外部のフィギュアの原型師に制作を依頼していたような場合は、その原型師との間で著作権の譲渡契約を交わしていなければ貴社は著作権者となりませんから注意が必要です。

3.キャラクターの著作権者の協力
 原著作権者が別にいる場合は、同著作権者に理由を話して著作権を行使してもらうよう協力してもらう必要があります。貴社がフィギュアを製作するにあたって商品化権契約を締結していると思われますので、第三者の権利侵害について規定されている可能性があります。まずはその契約を確認してみましょう。多くの場合、「第三者の権利侵害を発見したときは、ライセンシーはライセンサーに報告するものとし、両者はその対応について協議する」といった漠然とした規定となっているものと思われますが、著作権者も無許可の商品が国内で流通することをなくしたいと思うはずですから、状況を丁寧に説明して、著作権を行使してもらうことを依頼しましょう。
 また、フィギュアが二次的著作物であった場合、基になったキャラクターの原著作者は貴社の二次的著作物に関して同等の著作権を有するものの(著作権法28条)、差し止め請求権の行使は原著作権者の許可を得ずに単独で行うことができます(同法117条)。しかしながら、特に輸入差し止めを請求する場合、税関が二次的著作物か否かを判断することは難しいと思われますから、原著作権者の協力を仰いで共同で手続きすることが望ましいと思われます。

4.商標登録/意匠登録の可能性
 貴社がフィギュアの商品シリーズ名などにおいて商標登録を得ているかどうかは不明ですが、もし貴社が登録商標を得ており、その登録商標まで模倣品において複製されているとすれば、商標権を行使することができます。フィギュアのみデッドコピーされ、商標は別のものを使用している可能性もありますが、フィギュアの足裏などに商標を刻印するなどすれば、模倣者は完全なデッドコピーができなくなります。
 特に、パッケージが外されフィギュアのみで取引される、ヤフオクなどの二次市場で取り締まりを行う場合は、商標の刻印まで複製されていれば商標権侵害品として、また、商標刻印がなければ無許可の著作権侵害品となります。この事実の確認をプロバイダーに求めることでも一定の抑止効果が生じると思われますので、同種の侵害対策として考慮してみてください。
(商標の刻印例)

今後、意匠登録を検討することも良いかもしれません。従来、キャラクターのフィギュアは著作権で保護されるため意匠登録されることは稀でした。しかし、近年フィギュア自体が原著作物から離れ、独自の商品価値を有するようになってきているので、意匠登録することに意義が生じています。
 特に、平成10年の意匠法改正により、部分意匠制度が導入されていますから、フィギュアのヘッド部分のみを特定し、他の部分を限定しない部分意匠として出願することもできます。
(ヘッド部分の部分意匠登録例:意匠登録第1322272号)

また、ヘッド部分を部品と考えて、ヘッドのみを意匠登録することもできます。この場合も、同様に衣装・ポーズが変わる胴体部分の形状限定がありませんから、より広い意匠権を獲得することができます。このヘッドに胴体を付けた模倣品は、ヘッドの登録意匠の実施をしていることになりますから、その意匠権を直接侵害していることとなり、販売等の中止を請求することができます。
(ヘッド部分を部品とした全体意匠登録例:意匠登録第1349640号)

本QAは特許庁委託事業「外国産業財産権侵害対策等支援事業」において作成されたものです。
事業内容等は本事業サイト(http://www.jpo.go.jp/index/kokusai_doukou/iprsupport/index.html)をご確認下さい。