侵Q50

当社に対してシンガポールの企業から警告書が送られてきました。対応を教えて下さい。

質問

当社は日本で、静電気を防ぐ機能付のマフラーに「ABC」という商標を使用しています。先日シンガポールの企業から書類が送付され、当該企業は「ABC.com」というドメイン名を所有しているので、すぐにインターネット上での商標の使用を中止せよと言われました。当社は日本で「ABC」について「第25類 マフラー」について商標登録をしています。また、当社は日本、韓国、台湾以外でマフラーを販売したことはありません。

どのように対応すべきか教えて下さい。

回答

1.相手方企業の行っている業務の確認

もともと、貴社は日本で「ABC」について商標登録を所有しているので、日本で「ABC」を使用することについて問題ないと思います。

そして、シンガポールにおいても「ABC」を付したマフラーを販売されていませんので、シンガポールにおいても権利侵害の問題が生じることはないと考えられます。

日本のような登録主義の国では、商標権は商標登録によって発生しますが、英米法系の国では商標の使用によって商標権が発生すると認められます。そして、ドメイン名の使用によっても商標権、あるいはそれに準ずるものが認められる場合があるとされています。

つまり、相手方企業が「ABC.com」を使用してマフラーの販売を行っていた場合に、そのような法制度の国においては商標権、あるいは他人の商標の使用を排除する権利が認められる可能性があります。

よって、相手方企業が「ABC.com」を使用しているか、使用しているならばどのような業務に使用しているか調査、確認すべきです。

2.警告への対応

相手方の業務を確認した上で、もし相手方が「ABC.com」を使用してマフラーの販売を行っていなければ、貴社の商標と相手方のドメイン名との間で抵触はないと思われますので、そのように回答すればよいと思います。なお、回答に当たっては回答の要否を含め専門家に相談すべきです。

相手方が「ABC.com」を使用してマフラーの販売を行っていたとしても、貴社がマフラーを販売している日本、韓国、台湾は登録主義の国であり、ドメイン名の使用によって商標権が認められることはないので、原則として貴社は商標権侵害をしていないと考えられます。

そして、貴社がこれらの国で商標登録を所有していればなおさら貴社の商標使用は正当なものと言えます。

しかし、相手方のドメイン名が周知になっている場合には、不正競争防止法上の問題が生じる可能性がありますし、貴社の商標登録に対して無効審判を請求される可能性もあります。

逆に、貴社商標が周知となっているならば、相手方のドメイン名に対して譲渡、あるいは放棄するよう求める仲裁を申し立てることができるかもしれません。.comドメイン名に関する裁定申立はWIPOその他の機関に、.jpドメイン名に関する裁定申立は日本知的財産仲裁センターに申し立てることになります(註1)。

このように、本件には判断が難しい問題がありますので、弁護士、弁理士等の専門家に相談されることをお勧めいたします。

3.商標登録の重要性

このような警告を受けた場合、商標登録を所有していればそれが貴社の商標使用の正当性の根拠となりえます。よって、商標を使用する場合にはそれを登録しておくことが自らの事業を守ることになりますので、是非商標登録をしてください。

参考情報

本QAは特許庁委託事業「外国産業財産権侵害対策等支援事業」において作成されたものです。
事業内容、免責事項等は本事業サイト(http://www.iprsupport-jpo.go.jp/)をご確認下さい。