侵Q44

当社のブランドと同じブランドで、パッケージデザインもそっくりの製品が、外国で販売されているのを発見しました。どのように対応すべきか教えて下さい。

質問

当社は国内及び外国で果実飲料を製造・販売しております。タイの代理店から、当社の商標「Blue Cat」と同じ商標でパッケージデザインもそっくりの飲料が現地で販売されていると報告を受けました。

当社はタイ及びその周辺国で「Blue Cat」飲料の販売をしておりましたが、商標「Blue Cat」については商標登録を受けておりません。

どのように対応すればよろしいのでしょうか。対策を教えて下さい。

回答

1.権利関係の確認

まず、権利関係の確認をされることをお勧めします。貴社製品とそっくりの製品を販売している業者が、「Blue Cat」についてタイで商標登録をしていないとも限りません。もしも相手方が「Blue Cat」について商標登録していた場合、貴社商標の周知性、相手方商標の出願・登録の時期等を考慮したうえで、無効審判を請求できないかどうか検討すべきであると考えます。

もし相手方が商標登録していないならば、早急に「Blue Cat」について商標出願されることをお勧めします。

なお、貴社が「Blue Cat」以外のマーク(たとえば社標、ハウスマーク)についてタイで商標登録を所有されているならば、相手方のパッケージ中にそれらのマークが使用されていないかをよく確認してください。もし、使用されていれば、貴社商標登録に基づいて商標権侵害の申立てをすることが可能となると思われます。

2.対応策

相手方が商標登録を所有していないことが明らかになったら、相手方の商標使用を差し止めることができるかどうか検討します。

  • (1)刑事手続による対応
    • 1)日本登録に基づく模倣品排除

      タイの刑法第274条、第275条では、タイでは商標登録されていないが、他の国で登録されている商標がタイで当該登録にかかる商品と同一の商品に使用された場合には、その使用は犯罪行為となる旨規定されています。

      タイで第三者が販売している商品が貴社の商品と同一であれば、刑事手続きによる模倣品排除も可能であると思われます。

    • 2)詐称使用による模倣品排除

      タイにおいては、他人の周知商標を使用した場合、「詐称通用(passing off)」であるとして使用差止が認められます。貴社商標がタイで未登録であっても、また模倣品に使用されている商標が貴社商標と類似の範囲にある場合でも適用される可能性があります。

      「下記の何人も(1)他者の事業において使用される名称、図案、記号、文言を使用したり、それらのものを商品、包装、梱包、広告、価格表、事務書簡などに表示して、当該他者の商品・事業と誤認混同させる者は、1年未満の禁固刑か2000バーツ未満の罰金、あるいはその両方をもって罰せられる」(刑法第272条)。

    したがって、貴社商標の周知性の度合いにもよりますが、相手方の商標の使用に対してpassing offであるとして排除を求めることも可能かもしれません。

    なお、タイ以外の国において周知著名な商標であっても、タイにおいて保護されるとは限りませんので、貴社商標が日本で周知であってもタイにおいて混同を生じる程に周知とは言えないような場合には、passing offの主張は難しくなることもあります。

    いずれにしても、実際に手続きを検討される場合には専門家の意見を聞くことをお勧めします。

  • (2)民事手続による対応

    貴社はタイで「Blue Cat」の商標登録を所有していないので、商標権侵害の主張は困難と思われます。

    詐称通用(passing off)の主張が可能かもしれませんが、貴社商標の周知性の立証をしなければならず、膨大な費用と労力がかかる可能性があります。また、訴訟にかかる期間も長くなります。

    このようなことから、タイでの模倣品対策には民事手続よりも刑事手続のほうが有効と考えられます。

3.自社商標の登録

今回のような事件が起きても、貴社がタイで「Blue Cat」の商標登録をしていれば、商標権侵害で容易に相手方の商標使用を排除することができたと考えられます。また、貴社が「Blue Cat」の商標登録をしていれば、そもそも相手方は「Blue Cat」を使用しなかったかもしれません。

このように、自ら使用する商標を登録しておくことは非常に重要です。事が起こってからでは間に合いません。

よって、新しく商標を採択する際、あるいは販売国を広げる際には、必ず商標登録出願の手当てをされることをお勧めします。

貴社はタイの周辺諸国においても、「Blue Cat」製品を販売されているとのことですので、早急にそれらの国で商標登録出願をされるべきであると考えます。

特に、製品の製造だけを行い、販売がされていない国においては権利取得は不要と思われる方もありますが、昨今では税関で輸出差止めを行う国も増えており、もし他人にその商標を登録されてしまった場合には税関での輸出の際に製品が差し止められるということもあり得ます。その国での商標の使用の定義に「輸出」が含まれていれば、輸出行為は商標の使用となるからです。

よって、製造のみ行うといっても、厳密にいうと「商標の使用」に該当する場合がありますので、貴社商標を守る上では商標の登録をされておくことが不可欠と考えます。

参考情報

本QAは特許庁委託事業「外国産業財産権侵害対策等支援事業」において作成されたものです。
事業内容等は本事業サイト(http://www.jpo.go.jp/index/kokusai_doukou/iprsupport/index.html)をご確認下さい。