侵Q43

当社が製品をドイツの展示会に出品したところ、ドイツで当社の商標と類似する商標を登録している者から商標権侵害の警告を受けました。対策を教えて下さい。

質問

当社は国内で50年以上前から文具を製造・販売しており、当社の商標は日本では周知です。最近、欧州の会社から依頼されて当社の製品をドイツの展示会に出品しました。ところが、ドイツで当社の商標と類似する商標を登録している者から文書で商標権侵害の警告を受けました。対策を教えて下さい。

回答

1.ドイツにおける権利の確認

ドイツで登録された商標については、ドイツ特許商標庁のウェブサイト http://register.dpma.de/DPMAregister/marke/einsteiger で検索することができます(註1)。また欧州共同体商標意匠庁(OHIM)で登録された商標(CTM)についてはhttp://oami.europa.eu/ows/rw/pages/QPLUS/databases/searchCTM.en.do で検索できます(註2)。

ドイツで確かに登録されているか、その登録が貴社の商品と同一・類似の商品について登録されたものか確認してください。

また、その登録にかかる商標が実際に使用されているかどうかについても確認すべきです。ドイツでは、過去5年間使用されていない商標の商標登録に基づいて権利行使することはできません。

ドイツ商標法では以下のとおり定められています。

第25条 不使用を理由とする請求の排除
  • (1)登録商標の所有者は,請求の根拠となる商品又はサービスについて請求前5年以内に第26条の規定に基づいて当該商標が使用されていない場合は,第14条,第18条及び第19条に定める第三者に対する如何なる請求も行うことができない。ただし,この規定の適用は,当該日に当該商標が少なくとも5年間登録されている場合に限る。
  • (2)第14条,第18条及び第19条に定める登録商標の侵害を理由とする請求を原告が訴訟により主張した場合は,原告は,被告による反論に応じて,自己の請求の根拠となる商品又はサービスについて訴訟の提起前の5年以内に第26条の規定に基づく当該商標の使用がなされたことを立証しなければならない。ただし,当該日に,商標が少なくとも5年間登録されている場合に限る。訴訟の提起後に5年の不使用期間が終了した場合は,原告は,被告による反論に応じて,口頭審理の終結前の5年以内に第26条の規定に基づいて商標が使用されていることを立証しなければならない。決定に当たっては,使用が立証された商品又はサービスのみが考慮されるものとする。

よって、まず相手方に当該権利にかかる商標の使用の事実について立証を求めることができます。

2.商標・商品の類否

貴社が使用される商標と、ドイツで登録された商標が類似するかどうかについて検討する必要があります。使用されている文字が同一であったとしても、図形の結合の有無、図案化によって非類似であるとみなされる場合もないわけではありません。

商品の類似についても、日本のように判断が画一的ではなく、対象となる消費者層や流通チャネルを考慮して個別具体的に判断されますので、商品がほぼ同一というくらい近似していない場合には、商品の類似について検討が必要です。

商標の類似、商品の類似については専門家に相談されることをお勧めします。

3.日本での周知性によるドイツでの保護

貴社の商標が日本で50年以上前から使用されており、周知となっていて、かつ、第三者によるドイツでの商標登録が、貴社商標が日本で周知となった後に出願されている場合には、日本での周知性に基づいてドイツの商標登録を取り消すことができることもありえます。状況を説明し、専門家の見解を得られることをお勧めします。

4.今後の対応

まず、慎重に検討のうえ、書面で貴社の方針について回答すべきであると思われます。できればドイツの代理人と相談されたほうがよいでしょう。最近e-mailによる警告も見受けられますが、不用意に回答することはあとあと貴社の立場を不利にすることもあるので避けてください。

貴社商標が相手方の商標権を侵害する可能性が高いのであれば、当該商標のドイツでの今後の使用中止をしなければなりません。しかし、権利者と交渉し、出所の混同が生じないような対策をとることによって、当該商標の使用が可能になることもあり得ます。

よって、相手方と交渉することも有効であると考えられます。

もし、権利者が貴社の当該商標の使用に同意しないのであれば、別の商標の使用を検討することをお勧めします。その場合、事前調査が必要ですが、ドイツのみならず、CTMの登録についても調査しなければならないでしょう。CTMの商標は、上記OHIMのウェブサイトで検索できますが、詳細な調査は代理人を通してされることをお勧めいたします。

参考情報

本QAは特許庁委託事業「外国産業財産権侵害対策等支援事業」において作成されたものです。
事業内容、免責事項等は本事業サイト(http://www.iprsupport-jpo.go.jp/)をご確認下さい。