侵Q23

中国に意匠登録出願を行いたいのですが、日本の意匠登録出願と比較して注意しなければならないことがあるでしょうか。

質問

当社は病院内で使用する液状廃棄物の処理パックを中国で販売する予定です。コストを抑えるために製造を現地の協力会社に委託することにし、技術指導も行っているのですが、次期主力商品となる処理パックについて、協力会社に委託する前に、中国で意匠登録しておきたいと思います。中国で意匠登録を行う場合の注意点を教えて下さい。

回答

1.優先権を使った出願

中国もパリ条約に加盟していますので、特許と同様に、日本の意匠登録出願を基礎として優先権を主張して意匠登録出願を行うことができます。日本での意匠登録出願をしている場合は、6ヶ月の優先期間内に、中国に意匠登録出願を行うことをお勧めします。日本の意匠登録出願後にその製品の広告や販売を開始したとしても、優先権主張を行うことにより、中国での意匠登録出願の出願日が優先権の基礎となる日本の意匠登録出願の出願日とみなされますので、新規性を失うことを避けることができます。

2.中国における意匠保護

中国は独立の意匠法を有さず、アメリカと同じようにデザインパテントとして特許法上においてその保護を受けます。

中国は基本的に意匠に関しては無審査です。出願方式を満たしていれば登録されますが、新規性(我が国の創作非容易性に該当する登録要件はありません)の実態的な審査は行いません。但し、権利行使の際は「評価報告書」を求めなければなりません。したがって、制度的には我が国の実用新案制度に似ています。

3.出願における留意点

日本で意匠登録出願を行っていれば、基本的にその情報を現地の弁理士や弁護士に提供することにより、中国での意匠登録出願を行ってもらえます。しかし、次の点で、我が国の出願書類と異なるため、準備が必要です。

  • (1)「意匠の簡単な説明」を提出しなければなりません。「意匠の簡単な説明」には、物品の説明や創作の要点を記載する必要があります。
  • (2)また、多くの場合、正投象図法による6面図のみを提出した場合、斜視図(立体図)の提出を追加で求められることがありますので、もし、斜視図がある場合は、予め提出することが望ましいでしょう。但し、日本の審査実務に比べて、各図面間の一致は厳しく求められ、斜視図も例外ではありませんので、不一致が生じ易い斜視図の作成は注意して行ってください。

4.出願において利用できる特殊な制度

  • (1)部分意匠の取り扱い
    中国は、部分意匠制度を有しません。したがって、我が国で部分意匠の意匠登録出願を行った場合は、中国では破線部分を実線に書き直して出願することになります。この場合、優先権主張した際に同一性が認められるか否かの判断については、実際、過去、統一的な運用がなされておらず、相当にばらつきがあるとの報告がなされています。中国の審査基準は常に改正されますので、この点については出願時に現地代理人に確認する必要があるでしょう。
  • (2)関連意匠の取り扱い
    中国は、我が国の関連意匠制度に該当する制度を有しませんが、2009年の改正で「類似外観設計」制度が導入されました。類似外観設計制度とは、複数の意匠が類似関係にあればそれら複数の意匠を一出願に含めることができるというバリエーション意匠の保護制度です。したがって、我が国で行った複数の関連意匠出願を基礎として中国出願を行う場合は、それぞれの意匠について独立の意匠登録出願を行うほか、この制度を利用することで、まとめて単一出願とすることもできます。但し、中国意匠法は無審査を原則としながらも、類似外観設計制度では多意匠間の類似関係を判断されますので、類似関係に疑問のある複数意匠をむりやり一出願するのは避けた方がよいと思われます。

5.その他の留意点

中国における意匠の保護期間は、出願日より10年です(ちなみに、我が国の意匠の保護期間は登録日より20年です)。

但し、未登録の場合であっても不正競争防止法のデッドコピー規定(不競法2条1項3号)などで商品の形態が保護される我が国と違い、意匠登録を受けなければ保護が与えられない中国では、たとえ短いといっても保護を受けるためには意匠登録は重要です。

制度と同様に簡易、かつ迅速に意匠権を発生させて保護を受けることができます。

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