侵Q20

当社は国内で新規商標の使用を開始する予定です。これに先立って、該商標の商標登録の可能性、及び、使用した場合の安全性を確認する方法を教えて下さい。

質問

当社は、商標「XYZ」を商品「肥料」に使用する予定です。使用開始時期は6ヶ月後ですが、包装材料、宣伝広告材料等の準備はもう開始しなければなりません。

商標「XYZ」がもし、商標登録できないものであれば、別の商標に変更することも考えています。また、もし「XYZ」を使用することによって他人の権利を侵害するようなことになったら当社は莫大な不利益を被ることになります。

現時点において、商標「XYZ」の登録可能性及び使用可能性を確認するにはどうしたらよいでしょうか。

回答

1.商標使用前調査の必要性

商標を決定してから実際の使用までに1.5年から2年以上の時間があるのでしたら、候補となっている商標を(できれば複数)出願し、その結果を見て使用を開始するという方法をとることができます。商標登録出願から登録までの期間は、問題がなければ大体8~12ヶ月となります。従って、上記の方法であれば、商標使用開始の半年以上前に商標登録を得ることが可能となり、登録された商標を使用することが可能です。

しかし、多くの場合には、ご質問のように、商標を選ぶ段階から実際の使用開始までにそれほど多くの時間がないことが普通です。

そのような場合に、事前の安全性の調査は不可欠です。調査をせずに使用開始した場合、その後登録を取得できないと商標権による保護を受けることができなくなりますし、もし第三者の権利と抵触する場合にはすぐに使用を中止しなければならなくなります。最悪の場合には損害賠償を請求される可能性もあります。

もし海外にも製品を展開する予定があるならば、商標選択の時点で国内のみならず主要な販売先となる外国についても調査しておかれることをお勧めします。

2.商標調査の方法

  • (1)特許電子図書館による簡易検索
    簡易に先行商標の登録状況を確認する方法として、特許電子図書館における検索があります(http://www.ipdl.inpit.go.jp/homepg.ipdl)(註1)。最も簡便な方法は初心者向け検索です(http://www2.ipdl.inpit.go.jp/BE0/index.html)。ここで、「XYZ」という商標がすでに登録されているかどうかを確認することができます。
    さらに、商標検索(http://www.ipdl.inpit.go.jp/Syouhyou/syouhyou.htm)を行うことができます。文字商標の場合には、称呼による検索(http://www1.ipdl.inpit.go.jp/syouko/TM_AREA_B.cgi?1263186277921)を行うことをお勧めします。称呼検索においては、商品役務を特定しなければなりません。「肥料」の場合、商品区分第1類、あるいは類似群コード02A01を指定します。
    もし、図形商標の検索をする場合には、図形商標のページ(http://www3.ipdl.inpit.go.jp/cgi-bin/TF/sft1.cgi)において検索できます。
  • (2)専門家による調査・相談
    特許電子図書館での検索により、先行する同一・類似商標がないと思われる場合、その商標の登録・使用可能性は高いと推測されます。
    しかし、商標の類似・非類似の判断は高度に専門的なものであり、最終的には弁理士・弁護士等の専門家に相談されることをお勧めします(註2)。特許電子図書館の検索のみでは、発見できない商標が存在することもあるからです。
    一方、特許電子図書館の検索で同一の先行商標があった場合にも、専門家に相談することによって解決の道が開けることがあります。一般には、同一の先行商標があれば商標登録を取得することは困難と思われ、使用することは危険を伴う可能性があると推測されます。しかし、障害となる先行商標は存続期間満了により、もうすぐ失効するかもしれませんし、あるいは不使用による取消しが可能かもしれません。また、商標法上、商品役務が本当に抵触するかどうかということについても検討すれば実際には類似しないとの結論がでるかもしれません。
    従いまして、最終的な判断については、弁理士・弁護士のような専門家に相談することをお勧めします。
    特許・法律事務所では、先行商標の検索も含めて調査を依頼することができます。その場合の費用は1商標1区分あたり大体2~5万円程度です。
  • (3)外国での調査
    外国での調査についても、当該国の知財庁のデータベースを使用した簡易検索、民間業者のデータベースによる簡易検索があります。これらの簡易検索でスクリーニングをした後、現地の専門家の意見を聞くことをお勧めします(Q36参照)。

3.その他

他人の商標との関係においては、登録されていない周知商標との間で問題が生じることもあります。そのようなことはあまり頻繁に起こることではありませんが、しかし、もし、他人が登録をせずに商標の使用を継続しており、かつ、貴社の商標出願時において周知となっている場合には、不正競争防止法上の問題が生じる可能性があります。

貴社は業界のことについてはよくご存知だと思いますので、他の会社が肥料に「XYZ」を使用していることはないと思いますが、念のため、インターネット等で検索し、他の会社が肥料等について「XYZ」又はこれに類似する商標を使用していないことも確認されておくとよいと考えます。

参考情報

本QAは特許庁委託事業「外国産業財産権侵害対策等支援事業」において作成されたものです。
事業内容、免責事項等は本事業サイト(http://www.iprsupport-jpo.go.jp/)をご確認下さい。