侵Q19

果物の名称として認識されている語をジュースに使用したところ、商標権者から警告を受けました。どのように対応したらよいでしょうか。

質問

当社は果汁100%ジュースの製造・販売を行っています。通常は、当社のブランド「Happy Sunday」に果物の名前をつけて「Happy Sunday りんご」「Happy Sunday パイナップル」「Happy Sunday みかん」のような表示で商品を販売しています。

今回、苺の一種「いちごやま」を使用したジュースを開発し、「Happy Sunday いちごやま」という表示で販売したところ、「いちごやま」を含むロゴマークについて権利を所有している者から警告を受け、商標権侵害であると言われました。しかし、「いちごやま」はジュースの原材料を示しただけであり、商標として使用したつもりはありません。また、「いちごやま」はいちごの名称として知られており、商標権を主張されるとは思いませんでした。

どのように対応すべきか教えて下さい。

回答

1.農産物等の名称の商標登録について

原則として、種苗法によって品種登録を受けた品種の名称は商標登録することができません(商標法第4条第1項第14号)。しかし、品種登録されていない名称については商標登録が可能であり、一般的に農産物の名称として知られている名前であっても、商標登録されていることがあります。また、商品によっては品種登録された名称も商標登録することが可能です。

なお、当該名称がすでにある農産物の普通名称であると社会的に認識されている場合、あるいはそもそも自他商品識別力がないとされる名称には、その名称自体について商標登録は認められませんが、当該名称に他の何らかの語、図形等を結合させると登録を得ることが出来る場合もあります。しかし、そのような登録を取得しても、当該名称自体には排他的権利は認められません。

よって、まず、相手方の商標登録において、苺の一種の名称「いちごやま」の部分に権利性が認められるのかどうかについて専門家に確認することをお勧めします。権利者本人も専門的知識がなく、「いちごやま」について権利性があると誤信して警告している場合もあるからです。

2.商標としての使用に該当するか否か

相手方がたしかに「いちごやま」という語自体について商標権を有していた場合、貴社が「いちごやま」を商標として使用する行為は、相手方の商標権の侵害にあたります。

貴社は「いちごやま」を原材料名として表示したとのことですが、「Happy Sunday いちごやま」のような使用は、商標的態様での使用とも考えられます。

もし、商品パッケージの側面に「原料:いちごやま果汁」というように表示していれば、単なる原料の表示であって商標的使用ではないとの主張も可能でしょう。

また、商品ブランドが「Happy Sunday」であり、その脇に「いちごやま入り」のような表示をした場合にも、原料を表示したと認められる可能性があります。

本件の場合には、残念ながら商標的な態様であると認められる可能性が高いと思われますが、商標としての使用に該当するかどうかの判断は難しく、専門的な知識が必要ですので、専門家に相談されることをお勧めします。

商標登録との関係においては、商標が非類似であると認められる可能性もあるかもしれません。

貴社の商品における「いちごやま」の使用が、相手方の商標権の侵害にあたる場合には、使用を中止するか、あるいは使用許諾を受ける必要があると思われます。

3.その他

2006年から地域団体商標の登録が認められるようになりました(http://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/t_dantai_syouhyou.htm)(註1)。

「有田みかん」、「岡山白桃」、「市田柿」、「西宇和みかん」等が地域団体商標として登録されています。従って、原材料名の表示のつもりであっても、商標的使用と認められる可能性がありますから、商品への表示には注意してください。

また、一般的に使用されている商品名であっても、上述のとおり商標登録されているものもありますので、商品・その包装等への使用については留意する必要があります。

参考情報
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本QAは特許庁委託事業「外国産業財産権侵害対策等支援事業」において作成されたものです。
事業内容等は本事業サイト(http://www.jpo.go.jp/index/kokusai_doukou/iprsupport/index.html)をご確認下さい。