侵Q18

当社商標の使用を中止するよう他人から警告を受けました。対策を教えて下さい。

質問

当社は、8年以上、「マウントグリーン/Mt.Green」という店名で洋菓子の製造販売をしています。「Mt.Green」は店名であると同時に、菓子の包装箱や包装用袋にも表示されています。

しかし、他人から突然警告書なる文書が送られ、「グリーンマウンテン」という商標について登録を所有しているので、「マウントグリーン/Mt.Green」の使用をすぐに中止するよう要求されました。

全く予期していなかったことであり、また、折角「マウントグリーン/Mt.Green」が地元にも定着して固定客が増えてきたところなので商標の使用をやめたくないのですが、どのように対応すべきか教えて下さい。

回答

1.相手方商標権の確認

まず、相手方がたしかに「グリーンマウンテン」について商標登録を所有しているかどうか確かめてください。商標権の行使は、原則として商標権者あるいは専用使用権者がすることができます。

相手方商標の指定商品に「菓子」又は「菓子の小売」が含まれているかどうかも確認する必要があります。

2.商標の類否の確認

商標権の侵害は、登録商標と同一・類似の商標を、登録商標にかかる指定商品・役務またはこれらに類似する商品役務に使用した場合に起こります。

本件の場合、商標が類似するか否かがまず問題となると思われます。商標の類似は、称呼・外観・観念の3つの点から判断され、上記のいずれかの点において類似する商標は類似商標とされます。本件の場合には、観念において類似すると判断される可能性がありますが、商標の類否は専門的な判断が必要な場合が多いので、弁理士・弁護士等の専門家に相談することをお勧めします(註1)。「マウントグリーン」と「グリーンマウンテン」とは非類似となる可能性もありますし、あるいは、両者がともに緑色の山の図形を商標の構成に用いている場合等、状況によって類似となるかもしれません(註2)。

3.可能な抗弁の確認

本件商標はすでに8年以上使用されています。もし、相手方商標の出願が本件商標の使用開始時より後であれば、貴社は先使用による商標の使用をする権利を主張できるかもしれません(商標法第32条)。

また、「マウントグリーン」「Mt.Green」が包装用箱等にあくまでも店名としてのみ表示されていて、他に商標が表示されているのであれば、商品「洋菓子」についての商標としての使用とは認められない場合もあります(但しこの場合には不正競争行為に該当する可能性があるかもしれません)。

4.相手方への回答

相手方への回答は、慎重にするべきです。もし、回答期限までの時間が短いのでしたら、たいていの場合には期限延長を相手方に依頼すれば認められるでしょう。

他人の権利を侵害するかどうかという問題ですから、できるだけ専門家に相談してから回答することをお勧めします。

回答は書面で行うべきであり、また、どのように回答するかについては慎重に検討すべきです。本当に侵害したかどうか、また、先使用権等の抗弁がないかどうかを確認してから、侵害を認めるかどうか検討します。侵害を認めた場合、その後損害賠償の請求を受けることもあります。

相手方が、貴社の商標のどのような使用について問題としているのかが明確でない場合には、その点について問い合わせる必要があるかもしれません。どの点が問題となっているのかをはっきりさせないと、議論が噛み合わないことにもなる場合もあります。 相手方商標に無効理由があれば、無効審判を請求することも視野に入れることができます(註3)。

5.警告を受けないようにする方法

  • (1)調査
    他人の登録商標と同一・類似の商標を採択しないように、商標を採択するときには事前調査をすることをお勧めします。
    特許電子図書館(http://www.ipdl.inpit.go.jp/homepg.ipdl)では、登録商標の検索を行うことができます(註4)。しかし、商標の類似等の判断には専門的知識が必要ですので、専門家に調査を依頼したほうが安全でしょう(註1)。
  • (2)出願・登録
    長期間にわたって使用する商標については、出願し、登録しておいたほうがよいでしょう。登録を取得しておけば、他人に登録を取られることもありません。ちなみに、出願にかかる印紙代は1区分目が12,000円、2区分目以降8,600円です(註5)。
  • (3)使用に関する証拠資料の保管
    警告を受けても、先使用権の主張をすることができれば、その後も商標を継続して使用することが可能です(商標法第32条)。よって、商標登録を取得しない場合には、いつから商標の使用を開始したのか、また、どの程度、どのように使用してきたのかがわかる資料を保管し、先使用権の立証ができるように準備しておくのが賢明です。

6.注意事項

警告は通常書面で行われますが、口頭で行われた場合や、HPに書き込みをされたような場合には、状況に応じて、わかりやすく書面で記載してもらったほうがよいでしょう。問題の所在、相手方の権利の詳細等について、書面のほうが明確になるからです。

参考情報

本QAは特許庁委託事業「外国産業財産権侵害対策等支援事業」において作成されたものです。
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