侵Q15

当社が代理店となっている外国ブランドの商品と同じブランドの商品を他社が並行輸入しています。商標権の侵害であるとして警告することはできますか。

質問

当社は、外国の衣服のブランド「XYZ」の国内での代理店となり、商標の許諾を受けて「XYZ」ブランドの衣服を国内で独占的に販売しています。

ところが、先日、並行輸入業者Aが「XYZ」ブランドの衣服を輸入販売しているのをみかけました。

Aは、ちらしによる広告も行っているようです。

なんとか、Aに「XYZ」ブランドの衣服の販売を中止させることはできないでしょうか。

回答

1.相手方が販売している商品が真正品であるかどうか

まず、相手方が販売している商品がたしかに「XYZ」ブランドの真正品であるかどうかを確認する必要があります。もし、Aが「XYZ」ブランドの模倣品を販売しているのでしたら、商標権者に連絡し、対応をする必要があります。
(模倣品への対応として、警告、仮処分申立、訴訟提起、輸入差止申立、警察への告訴等があります。)

2.並行輸入品の販売を中止させることができるか。

Aが販売している商品が「XYZ」ブランドの真正品であれば、並行輸入品であるといえます。並行輸入品が、商標権を侵害するかどうかについてはいくつかの判決がありますが、それらの殆どが、並行輸入品の販売は商標権を侵害しないとしています。

並行輸入品の販売が商標権を侵害しないとされるためには、その商品が以下の要件を満たす必要があります。

  • ①当該商標が外国における商標権者又は当該商標権者から使用許諾を受けた者により適法に付されたものであること、
  • ②外国における商標権者と日本の商標権者とが同一人であるか、または法律的・経済的に同一人と同視しうるような関係があることにより、当該商標が日本の登録商標と同一の出所を表示するものであること、
  • ③日本の商標権者が直接的に又は間接的に当該商品の品質管理を行いうる立場にあって、当該商品と、日本の商標権者が登録商標を付した商品とが当該登録商標の保証する品質において実質的に差異がないこと。

まず、①については、Aの販売する商品が、「XYZ」ブランドの権利者またはライセンシーによって適切に製造・販売されたものであれば、この要件を満たしているといえるでしょう。

次に、②については、通常は、「XYZ」の外国での商標権者と日本での商標権者は同じであることが多いと思われますが、外国商標権者の日本法人が日本での商標権者になっているような場合もあります。本件では、貴社は商標権者の許諾を受けているということなので、外国商標権者と日本の商標権者とは同一と思われます。

③については、Aが販売している商品が商標権の品質管理を直接的又は間接的に受けている必要があります。 多くの場合、並行輸入されている真正品は、上記①乃至③の要件を満たしており、このような製品については商標権に基づいて販売を差し止めることはできません。

しかし、例えば、外国商標権者のライセンスを受けた者が、契約の内容とは違う地域の下請け業者に製造を委託した製品については、適切な品質の管理が行われているとはいえず、許諾の範囲を逸脱して製造されたものであるとして真正品とはいえないと判断されたこともあります(フレッドペリー事件 最高裁平成15年2月27日第一小法廷判決 平成14年(受)第1100号)(註1)。

3.ちらし等における広告について

Aが販売している商品が真正品であれば、その商品についての広告に「XYZ」を付することを禁止することは難しいと思われます。しかし、商品とは全く関係なく、Aが「XYZ」を表示して広告等している場合には、商標権に基づいてこれを中止させることができる場合もありますので、弁理士・弁護士等の専門家に相談してみることをお勧めします。

参考情報

本QAは特許庁委託事業「外国産業財産権侵害対策等支援事業」において作成されたものです。
事業内容等は本事業サイト(http://www.jpo.go.jp/index/kokusai_doukou/iprsupport/index.html)をご確認下さい。