侵Q14

他人が当社の登録商標と類似する商標を使用しています。対策を教えて下さい。

質問

当社は、国内で衣料品の製造販売をしており、「ホップ」商標を当社の製品に使用しています。商標登録は25年前に特許事務所を経由して、第25類(旧第17類)の商品を指定商品(被服など)として行いました。2年前から、一貫して「ホップ」を「HOP」として表示するようにしています。

最近、他人が商標「HOP」及び「ホップ」を付けた商品「レインコート」を販売していることを発見しました。当社は「レインコート」の販売はしていませんが、当社の商標とほぼ同じ商標を「レインコート」に使用されることは断固として中止させたいと考えています。どのように対応すべきか教えて下さい。

回答

1.事実の確認

まず、相手方がたしかに貴社の商標と類似の商標を、商標登録にかかる指定商品と類似の商品に使用していることを確認してください。相手方が商標権を侵害していることの証拠として、販売されている商品(商標が付されているもの)を購入し、領収書等を保管することをお勧めします。販売価格等を立証する資料ともなりえます。

また、インターネット上で当該商品が販売されている場合には、それをプリントアウトしたもの、また、広告宣伝書類等がある場合にはそれらを資料として保管することをお勧めします。

2.商標権の確認

貴社の商標登録がたしかに有効であることを確認してください。商標権の存続期間は10年ごとに更新されます。しかし、更新時に、5年分だけについて登録料を支払うこともできますので、そのような場合には、5年後に後期登録料を支払う必要があります。 また、もし、過去3年以内に登録商標の使用をしていない場合には、不使用に基づく取消審判を請求されることもありますので注意してください。

商標登録の内容についても確認してください。商標の態様、指定商品について確認し、相手方の使用している商標、商品と比較し、貴社の商標権の禁止権の範囲(類似の範囲)に入っていることを確かめる必要があります。 商標が類似し、かつ、商品も類似する場合には、商標権の禁止権が及びますので、かかる商標の使用を差し止めることが可能となります(商標法第37条)。

商標の類似、商品の類似については、弁理士・弁護士といった専門家の意見を聴くことも重要です。特に商標の類似に関しては、個別具体的に判断が異なる場合もあります。

なお、貴社の商標がまだ出願中で、登録されていない場合には、該商標の出願にかかる内容を記載した書面を提示して警告をすれば、該商標の登録後に、当該商標の使用により生じた業務上の損失に相当する額の金銭の支払いを請求することができます(商標法第13条の2)。

3.侵害に対する対策(侵Q2の回答も参照)

  • (1)警告
    確認した事実に基づいて、侵害者(相手方)に対して警告書を送付し、商標の使用の中止を要求するのが一般的です。警告は、内容を明確に伝えるために、口頭でなく書面ですべきです。また、内容証明郵便にて送付することをお勧めします。警告書を送付する相手は、商標を使用した者(商品に商標を付した者)とすべきです。単にその商品を仕入れて販売しているだけの流通業者に警告することは不正競争防止法第2条第1項第14号との関係で問題が生じるおそれがあるからです。
    警告書においては、①貴社の権利の内容、②問題となっている相手方の行為、③要求すること(商標の使用の中止等)、④回答期限、を明確にします。
    貴社の商標が周知になっている場合には、相手方の行為が不正競争防止法第2条第1項第1号の混同惹起行為に該当する可能性もあります。
    このように、警告書の送付については専門的な問題が伴いますし、その後訴訟等に発展する可能性もありますので、弁理士・弁護士に相談し、できれば警告書送付を依頼するのがよいでしょう(註1)。
    事実の確認が不十分な状態で警告書を送付すると、逆に営業誹謗であるとして不正競争防止法第2条第1項第14号に基づいて逆に警告を受けることにもなりかねません。
  • (2)警告後の対応
    • 1)交渉
      相手方から回答があったら、その後どのように問題を決着させるか交渉を進めます。 予測される回答としては、侵害を認めて使用を中止するというもの、侵害を認めないが使用を中止するというもの、侵害を認めないというものが考えられます。相手方が侵害を認めた場合には、場合によって賠償金を請求することも可能と思われます。また、今後も相手方が該商標の使用継続を望み、貴社もそれに同意するならば、使用許諾の契約を結ぶことも考えられます。
      あるいは、相手方が再度、該商標を使用しないことを文書で確認させるという場合もあります。
    • 2)仮処分申立・訴訟提起等
      相手方が貴社の要求に応じない場合には、仮処分の申立、商標権侵害訴訟提起も考えられます。しかし、このような手続には費用も労力もかかりますので、勝算や必要性について専門家と十分に相談することが必要です。
      民間の仲裁センターに調停を求めるという方法もあります(註2)。
    • 3)その他
      相手方が製品を外国で製造し、日本に輸入しているならば、日本の税関に輸入差止め申立をすることできます。また、侵害品の輸出も輸出差止め申立により差し止めることができます。
      また、当該国において貴社が商標権を所有していれば、その国の国内で、あるいは税関で相手方製品を差し止めることも可能かもしれません(註3)。

4.注意事項

本件の場合には、登録商標が「ホップ」であるのに対し、使用している商標は「HOP」ですので、「HOP」についても商標登録出願をし、登録したほうがよいと思います。

また、貴社が商標を使用している商品中、侵害にかかる商品「レインコート」に類似する商品(コート、ジャケット等)があることを確認してください。もしない場合には、その商品群に対して不使用取消審判を請求される可能性もあります(註4)。

本件の場合には、登録から20年以上経過していますが、登録日から5年以内の登録に対しては、無効理由があれば登録無効審判が請求されることもあるので注意が必要です(註5)。

参考情報
関連QA
  • 侵Q58 当社の商標権の侵害をした会社から、今までの侵害を認め、今後ライセンスを受けたいとの申し出がありました。どのように対応すべきでしょうか。

本QAは特許庁委託事業「外国産業財産権侵害対策等支援事業」において作成されたものです。
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