■ 商品開発プロセス編
 このQAは、知財リスクを事前に回避するため、商品開発プロセスの各段階で管理しておくべき項目をチェックリスト形式にまとめたものです。チェックリストに掲げた項目は一般的なものですので、貴社のご事情に合わせて適宜変更してご利用下さい。チェックリストのダウンロードはこちらから。


質問

当社は、新商品の開発に着手しました。これを事業化して当社の主力商品に持っていきたいと考えています。今後の商品開発の進展に伴い、他社の特許権、意匠権、商標権などの侵害回避策や当社で生まれた発明などの保護が必要になると思います。
 また、商品の製造(委託製造も予定)や販売(海外販売も予定)に伴い、知財リスク回避のためチェックしておくべき事項もあると思います。商品開発プロセスに連動して知財の面から、どのようなことを管理する必要があるかを教えて下さい。

回答
一般的に商品開発のプロセスは、「A市場調査」、「B企画・開発」、「C製造」、「D販売(国内外)」、そして「E製造・販売の終了」の各段階があります。それらの段階で、知的財産の面から何をどのように管理しておかなければならないかを、
■ 技術・ノウハウ
■ デザイン
■ ブランド
の3項目に分けて、各項目のページにチェックリスト化して掲載しました。また、各チェック項目に対しては、詳細な解説を付けましたので、これも併せて参照して下さい。詳細な解説は、各チェック項目の末尾に付された解説番号(解説01など)をクリックするとの、該当する解説ページに飛ぶことができます。

なお、各チェック項目は、上記の各段階における「他社権利対策」、「権利取得」、「権利活用」、「権利行使」、「国内製造」、「海外製造」、「海外展開」という各局面ごとに配置されています。この配置状況については、「■技術・ノウハウ」、「■デザイン」、「■ブランド」の各項目の冒頭にある「段階別・局面別の解説配置表」で確認して下さい。

■技術・ノウハウ

<段階別・局面別の解説配置表>

局面\段階 A 市場調査段階 B 企画開発段階 C 製造段階 D 販売(国内外)段階 E 製造販売終了段階
他社権利対策 解説01   解説03~05       解説15、16    
権利取得     解説06~09       解説17、18   解説22
権利活用         解説10   解説19   解説23
権利行使                  
国内製造         解説11、12        
海外製造         解説13、14   解説20    
海外展開 解説02           解説21    


A 市場調査段階
<他社権利対策>
□ 自社が販売する製品の市場動向に加え、競合他社はどのような特許出願をしているかを確認したか。⇒解説01
<海外展開>
□ 海外展開先で、競合他社はどのような特許出願しているかを確認したか。⇒解説02
B 企画・開発段階
<他社権利対策>
□ ノウハウの場合、先使用権を確保するために、タイムスタンプを活用したか。⇒解説03
□ 共同研究・開発の場合に、知的財産の権利帰属の契約がなされているか。⇒解説04
□ 大学からライセンスを受ける場合に、不実施の場合でもライセンスの支払いがあるか。⇒解説05
<権利取得>
□ 特許出願すべきか、ノウハウとして秘匿するかを検討したか。⇒解説06
□ 職務発明規定(又は就業規則で知的財産の取り扱い条項)が整備されているか。⇒解説07
□ 将来の海外製造・輸出を考えて、外国出願を検討したか。⇒解説08
□ 外国出願の補助金・助成金の有無を調査したか。⇒解説09
C 製造段階
<権利活用>
□ 融資を受けるために、特許出願又は特許の技術評価をすべきか。⇒解説10
<国内製造>
□ 部品の供給先との契約書に、部品の特許保証条項が含まれているか。⇒解説11
□ 製造委託先との契約書に、NDA条項、独自販売禁止等の条項が含まれているか。⇒解説12
<海外製造>
□ 部品の供給先との契約書に、部品の特許保証条項が含まれているか。⇒解説13
□ 製造委託先との契約書に、NDA条項、独自販売禁止等の条項が含まれているか。⇒解説14
D 販売(国内外)段階
<他社権利対策>
□ 他社特許に対して特許無効の主張が可能か、不可ならライセンスはどうか。⇒解説15
□ 他社特許に対して、権利非侵害、先使用権などの主張が可能か。⇒解説16
<権利取得>
□ 他社製品が当社製品と同じような技術を使っているかの監視ができているか。⇒解説17
□ 他社製品が権利侵害している場合、税関による差止申請するか、民事・刑事で訴えるか。⇒解説18
<権利活用>
□ 開放特許として他社にライセンスするか。⇒解説19
<海外製造>
□ 他社に特許ライセンスをする場合に、特許ライセンスに関する法制度がどうなっているかを確認できているか。⇒解説20
<海外展開>
□ 他社製品が当社製品と同じような技術を使っているかの監視ができているか。⇒解説21
E 製造・販売終了段階
<権利取得>
□ 関連する特許の年金を支払い続けていないか。⇒解説22
<権利活用>
□ 特許を他社に譲渡する、又はライセンスを与えるか。⇒解説23

■デザイン

<段階別・局面別の解説配置表>

局面\段階 A 市場調査段階 B 企画開発段階 C 製造段階 D 販売(国内外)段階 E 製造販売終了段階
他社権利対策 解説01、02           解説14~16    
権利取得     解説03、04   解説07、08       解説23
権利活用                  
権利行使             解説17~19    
国内製造     解説05   解説09        
海外製造     解説06   解説10~13   解説20    
海外展開             解説21、22    


A 市場調査段階
<他社権利対策>
□ 登録意匠の調査を行ったか。⇒解説01
□ 市場における公知意匠の確認を行ったか(不正競争防止法)。⇒解説02
B 企画・開発段階
<権利取得>
□ 社内デザインの場合、就業規則において「意匠登録を受ける権利」の継承がなされることを確認したか。⇒解説03
□ 社外デザインの場合、契約書によって「意匠登録を受ける権利」「著作権」の承継がなされることを確認したか。⇒解説04
<国内製造>
□ 他社からの持ち込み企画の場合、契約書において「意匠権」の取得・実施権、「著作権」の取り決めがあることを確認したか。⇒解説05
<海外製造>
□ 他社からの持ち込み企画の場合、契約書において「意匠権」の取得・実施権、「著作権」の取り決めがあることを確認したか。⇒解説06
C 製造段階
<権利取得>
□ 意匠出願の検討を行ったか(公表等により新規性を失う前に行う)。⇒解説07
□ 特許出願・実用新案出願の検討を行ったか(公表等により新規性を失う前に行う)。⇒解説08
<国内製造>
□ 製造委託する場合は、NDA契約を行ったか。⇒解説09
<海外製造>
□ 製造委託する場合は、NDA契約を行ったか。⇒解説10
□ 製造委託する場合、現地での販売について禁止、あるいは他の取り決めを行ったか。⇒解説11
□ 製造国での意匠出願の検討を行ったか(国内出願を基礎にした優先権主張)。⇒解説12
<海外展開>
□ 販売国での意匠出願の検討を行ったか(国内出願を基礎にした優先権主張)。⇒解説13
D 販売(国内外)段階
<他社権利対策>
□ 他者登録意匠の調査・確認を行ったか。⇒解説14
□ 該当する他者登録意匠や著作物がある場合、対応策を検討したか(権利排除・非該当・適法性主張)。⇒解説15
□ 近似する他社製品が市場に存在する場合、対応策を検討したか(保護利益否定・非該当・除外主張)。⇒解説16
<権利行使>
□ 模倣品が現れた場合、「意匠権」「著作権」の行使を検討したか。⇒解説17
□ 模倣品が現れた場合、不正競争防止法の行使を検討したか。⇒解説18
□ 模倣品が海外から輸入された場合、輸入差止手続きを検討したか。⇒解説19
<海外製造>
□ 他社に意匠ライセンスをする場合に、意匠ライセンスに関する法制度を確認したか。⇒解説20
<海外展開>
□ 販売国で模倣品が現れた場合、「意匠権」の行使を検討したか。⇒解説21
□ 販売国で模倣品が現れた場合、不正競争防止法の行使を検討したか。⇒解説22
E 製造・販売終了段階
<権利取得>
□ 年金の支払いの継続を検討したか。⇒解説23

■ブランド

<段階別・局面別の解説配置表>

局面\段階 A 市場調査段階 B 企画開発段階 C 製造段階 D 販売(国内外)段階 E 製造販売終了段階
他社権利対策 解説01           解説07、08   解説24
権利取得     解説02~04           解説25
権利活用             解説09~14    
権利行使             解説15   解説26
国内製造         解説05   解説16、17    
海外製造         解説06   解説18、19    
海外展開             解説20~23    


A 市場調査段階
<他社権利対策>
□ 市場動向に加え、販売する製品に競合他社はどのような商標を使用しているかを確認したか。⇒解説01
B 企画・開発段階
<権利取得>
□ 商標の候補を絞り、商標調査をしたか(国内及び海外)。⇒解説02
□ ロゴデザインの場合にはデザイナーから著作権を譲り受けたか。⇒解説03
□ 海外出願について助成金の確認をしたか。⇒解説04
C 製造段階
<国内製造>
□ 委託製造をする場合には、委託先との契約を締結したか。⇒解説05
<海外製造>
□ 委託製造をする場合には、委託先との契約を締結したか。⇒解説06
D 販売(国内外)段階
<他社権利対策>
□ ライセンスを受ける場合には、ライセンス契約は済んだか。⇒解説07
□ 他人の商標権に抵触しないように使用態様を確認したか。⇒解説08
<権利活用>
□ 登録商標の表示の確認をしたか。⇒解説09
□ 他社にライセンスする場合、ライセンス契約は済んだか。⇒解説10
□ インターネット等や市場で権利侵害の監視をしているか。⇒解説11
□ 海外からの模倣品がある場合には、その対策として日本の税関に商標を登録したか。⇒解説12
□ 侵害に対して適切な権利行使をしているか。⇒解説13
□ 商標管理の観点から商標の使用態様の確認をしているか。⇒解説14
<権利行使>
□ 海外での侵害を監視し、適切に対応しているか。⇒解説15
<国内製造>
□ 販売店との契約を締結したか。⇒解説16
□ 使用証拠を保管しているか。⇒解説17
<海外製造>
□ ライセンス登録が必要な国ではライセンスの登録をしたか。⇒解説18
□ Ⓡの表示をしているか。⇒解説19
<海外展開>
□ 海外の税関で商標の登録をしたか。⇒解説20
□ 使用証拠を保管しているか。⇒解説21
□ Ⓡの表示をしているか。⇒解説22
□ ライセンス登録が必要な国ではライセンスの登録をしたか。⇒解説23
E 製造・販売終了段階
<他社権利対策>
□ 他社からのライセンス契約を終了させたか。⇒解説24
<権利取得>
□ 商標権の更新を中止したか。⇒解説25
<権利行使>
□ 製造委託先との契約を終了させたか。在庫品の処理について確認したか。⇒解説26

■技術・ノウハウの解説
 01 

技術・ノウハウ/市場調査段階/他社権利対策
キーワード:開発コスト削減、侵害回避、他社開発動向

   自社が販売する製品の市場動向に加え、競合他社はどのような特許出願をしているかを確認したか。

自社の新製品を企画する前に、他社がどのような製品を販売しているか、市場が伸びていくか等の市場調査をすると思います。
 さらに、自社製品に関する特許を他社がどれぐらい取得しているか、他社はその製品のどの技術に特許出願しているのかを調査する必要があります。
 自社の新製品を企画し新製品を開発していく途中で、他社の特許があるため、設計を見直さなければいけなくなることがあります。設計の見直しは、それまで要したコストが無駄になってしまうことを意味します。
 新製品を企画する前または途中に、他社が市場を侵されないように築いた特許網をかいくぐることができるのか、特許ライセンスを受けてでもその新製品を開発するのかを検討すべきです。製品が上市してから他社の特許を侵害していることになると、他社から特許侵害と訴えられることもあります。
 また、他社は新製品を企画・開発するに先立って、特許出願しています。特許出願から1年6カ月後に特許公開公報が発行されるため、他社の新製品が未だ販売されていなくても他社の開発動向も予測できることがあります。
 このように、自社の新製品を企画する段階から、特許調査して他社の製品開発動向を知ることは大変重要です。

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 02 

技術・ノウハウ/市場調査段階/海外展開
キーワード:海外特許出願のタイミング

   海外展開先で、競合他社はどのような特許出願しているかを確認したか。

自社の新製品を企画する前または途中に、海外に新製品を販売するか、海外で新製品を製造する可能性があるかも検討しましょう。
 特許権は、各国ごとに権利が発生しています。日本で自社の新製品に関する特許がなくても海外で自社の新製品に関する特許がある場合があります。
 このため、海外で新製品を販売または製造する可能性がある場合には、海外で特許訴訟に巻き込まれないように、海外の特許も調査しましょう。海外企業が特許を取得しているため、海外で製造または販売すると特許権侵害になる場合もあります。自社の新製品を企画する際には、海外で新製品を販売・製造するかも検討し、海外進出するならば、その国の特許も調査しましょう。

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 03 

企画・開発段階/他社権利対策
キーワード:ノウハウとタイムスタンプ

   ノウハウの場合、先使用権を確保するために、タイムスタンプを活用したか。

自社の新製品を開発していく過程において、特許出願すべき技術かノウハウとして秘匿する技術かを判断する必要があります。特許出願して特許を取得できれば独占権を得ることができますが、その技術は公開されます。
 自社にはノウハウの場合であっても、他社はノウハウと判断しないで特許出願している場合があります。そのような場合に、自社が他社の特許出願前からその技術を実施していたり、準備していたりすることを証明できれば、先使用権が主張できます。
 その証明の方法には、次の方法があります。一つは公証役場による書面に対する確定日付の付与です。また公証役場による電子データ(電子文書)に対する電子公証サービスです。さらに、民間企業等による電子データに対するタイムスタンプです。
 書面の保管及びコストの観点、並びに特許庁のガイドラインから、知的財産関連の先使用権の証明のためにタイムスタンプが使われています。
http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/pdf/senshiyouken/17.pdf
 ノウハウとして秘匿する技術と判断した際には、そのノウハウを含む電子データに対してタイムスタンプを付与して保管すること検討しましょう。
なお、独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)も、平成28年度末からタイムスタンプを開始する予定です。平成28年度末からINPITのタイムスタンプを活用することもできます。
http://www.inpit.go.jp/katsuyo/tradesecret/ts.html

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 04 

企画・開発段階/他社権利対策
キーワード:共同研究、権利の帰属

   共同研究・開発の場合に、知的財産の権利帰属の契約がなされているか。

人員や資金等が限られる中小企業が研究開発を自前でどの程度までできるかを考えたときに、共同研究及び共同開発(以下、共同研究という)で新製品を開発しようと考えることも多いと思います。
中小企業が共同研究を行う場合、問題となりうるのは連携相手との研究成果の取り扱いです。資金力や取引における力関係、知的財産活動の経験等に差がある場合、大企業と中小企業の共同研究の成果が共有されず、大企業単独の研究結果として特許が大企業に帰属する場合があります。
また、大企業と共同で特許出願ができたとしても、共同出願相手の同意なしに特許権の譲渡やライセンスができない状態(特許法第73条)では、大企業と比べて製造や販売の規模が小さい中小企業にとって、望ましい権利配分とは言えない可能性があります。
 中小企業は、大企業と共同研究をする場合には、上記デメリットがある可能性も考慮した上で、以下のような項目を検討して共同研究契約書を締結する必要があります。
(1)研究開発の目的:共同研究開発契約において何を達成しようとするのか、その目的は明確に記載しなければなりません。例えば自社のどの部分の技術を補完・発展させるための研究開発なのかという目的を明確にします。目的が明確になれば、両者がその目的にむかって何をすべきか、何を相手方に要求すべきかなどが明確になります。
(2)情報の相互開示:両者が当該契約の目的を達成する上で必要な情報及び資料をお互い開示提供し合うことになります。その際には、互いの技術情報の混入(コンタミネーション:コンタミと略して呼ばれることが多いです)が生じないように注意する必要があります。同じ技術分野同士での共同開発では、契約外での研究開発の情報との関連性が問題になることがあります。提供を受けた相手側の情報や資料にアクセスできる人員を特定することも大切になります。また、秘密漏洩がないように技術情報の保管も大切な業務となります。
(3)研究開発の分担とその費用負担:共同研究する際には、両者が何をするのかを明確に規定することも必要です。更に、両者が実施する分担作業に関する費用は、どちらが負担するかというような費用の取り決めも明確にしておきましょう。
(4)開発成果の取り扱い:研究の過程または結果として生じた成果物(ノウハウ、発明等)は、どちらに帰属するのか、知的財産が生じた場合は共同出願か単独出願か、単独でライセンスできるかなど必ず明確な規定を設けるべき事項があります。

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 05 

企画・開発段階/他社権利対策
キーワード:大学との共同研究、不実施補償

   大学からライセンスを受ける場合に、不実施の場合でもライセンスの支払いがあるか。

人員や資金等が限られる中小企業が研究開発を自前でどの程度までできるかを考えたときに、大学との共同研究及び共同開発(以下、共同研究という)、又は大学に研究を委託して新製品を開発しよう(以下、研究委託という)と考えることも多いと思います。
中小企業が、大企業と共同開発する場合とあまり変わらない点もありますが、相手が大学だからこそ留意する点もあります。
(1)研究開発の目的:中小企業が共同研究又は大学に研究委託する場合、共同研究開発契約において何を達成しようとするのか、その目的は明確に記載しなければなりません。またいつまでに研究成果を得るか目標を明確にする必要があります。目的が明確になれば、何を相手方に要求すべきかなどが明確になります。
(2)どの大学(研究室)と組むか:単にその技術分野のオーソリティであるからという理由で共同研究又は研究委託しても、教授等の研究方針と異なっていてはよい成果は得られません。検討している大学・教授の研究実績だけではなく、実際に会ってその人柄や研究方針を確認する必要があります。
(3)共同研究又は研究委託の成果物の取り扱い:人的資源や資金の提供が少ない場合には、大学に特許権などが帰属することがあると思います。このような場合には、ライセンスを受けて実施することになると思います。人的資源や資金の提供が多い場合であっても、大学と特許権を共有する場合もあります。大学の研究者の功績による側面も多いからです。この特許権を共有する場合、企業同士の契約にはあまり生じない問題があります。それは不実施補償の取り決めです。
 特許権を共有していますと、共有者は自由に特許発明を自己実施できますが、大学は製品を製造販売することはありません。このため共有者である中小企業に不実施補償を求めることが多いです。つまり大学は、共有特許でありながらライセンス料相当額の補償を要求することがあり、しばしば契約上の争点となります。
(4)業界または同業者による共同研究又は研究委託:中小企業の場合は、1社で大学との委託・共同研究を実施するのは、人的資源や資金面で困難な場合があります。このような場合は、業界または同業者の企業連携で、共同研究又は研究委託する方法もあります。

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 06 

企画・開発段階/権利取得
キーワード:特許かノウハウか

   特許出願すべきか、ノウハウとして秘匿するかを検討したか。

自社の新製品を開発していく過程において、特許出願すべき技術かノウハウとして秘匿する技術かを判断する必要があります。特許出願して特許を取得できれば独占権を得ることができますが、その技術は公開され、誰もが見ることができる公知技術になります。
 どのような技術を特許出願すべきと判断し、どのような技術を営業秘密として管理する方がよいでしょうか。企業ごとにその基準はいろいろあると思います。
 その基準は経営戦略に直結し、適切な選択を行えば自社に莫大な利益をもたらす可能性があります。逆に、その選択を間違えれば、無料で競合他社へ自社技術を公開してしまうだけになりかねません。
 一般的には、リバースエンジニアリングしてもわからない可能性が高い技術はノウハウとして秘匿し、リバースエンジニアリングすればわかってしまう技術は特許出願すべきでしょう。
 例えば、いったん製品が世の中に出ると、その製品のソフトウェアに対してはプログラムの分析が行われ、ハードウェアでは製品の分解が行われます。しかし、精度よく低価格で製造する製法、ある材料の成分混合比率、製造する際の温度条件など、リバースエンジニアリングしてもわからない技術も多いです。
 リバースエンジニアリングしてもわからない技術は、ノウハウとして秘匿した方がよいと思います。そして、タイムスタンプを利用して、そのノウハウがいつから存在しているのかを証明できるようにしておくことが望ましいでしょう。

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 07 

企画・開発段階/権利取得
キーワード:職務発明、規定の整備

   職務発明規定(又は就業規則で知的財産の取り扱い条項)が整備されているか。

昭和 34 年法の職務発明の規定(特許法第35条)の下で、従業者又は元従業者が、使用者である会社に対して発明の対価を要求し、多額の対価を使用者が従業者に支払う事件がありました(オリンパス事件、日亜化学事件等)。
  それ以降、平成16年改正、平成27年改正で職務発明制度が変わってきました。
  職務発明規定(又は就業規則等での知的財産の取り扱い条項)(以下、職務発明規定等という。)が会社に存在していない場合、発明者である従業者に特許を受ける権利が発生します。そして職務発明が特許された場合、使用者には職務発明に対する通常実施権が発生します(第35条第1項)。
 また、使用者が特許を受ける権利あるいは特許権を取得するには、事後的な契約により、従業者から職務発明に関する特許を受ける権利の譲渡を受けることとなります。そして、従業者には、相当の利益を受ける利益請求権が発生します(同条第4項)。この相当の利益は、その職務発明により使用者が受けるべき利益の額等を考慮して定められます(同条第7項)。
 使用者の受けるべき利益の額等で定められるため、その金額は予測できないものとなりますから、経営の持続性・安定性のためには、職務発明規定等を整備する方が望ましいです。
 職務発明規定等で定めるためには、その内容の協議、開示、意見の聴取等の手続を行わなければなりません。ただし、従業者等の数が比較的少ない中小企業においては、事務効率や費用等の観点から、書面、電子メールで行うことも可能です。

参考情報
「職務発明規定のガイドライン」は、下記URLを参照してください。
https://www.jpo.go.jp/seido/shokumu/shokumu_guideline.htm

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 08 

企画・開発段階/権利取得
キーワード:将来の海外展開、事前の外国出願

   将来の海外製造・輸出を考えて、外国出願を検討したか。

海外に新製品を販売するか、海外で新製品を製造する可能性があるかということも、企画段階で検討しましょう。
 海外に特許出願する費用は、翻訳代も発生することから、一カ国毎に少なくとも50万円~200万円かかります。このため、海外での新製品販売を考えたり、海外で新製品を製造することを考えたりしても、国内で新製品の売れ行きが良いことがわかった後で、海外で特許を取得しようと考えてしまいがちです。
 しかし、国内で新製品を販売するとその技術が公知事実となってしまい、海外で権利取得できない場合が多いです。
 そのため、新製品を海外販売又は製造する可能性がある場合には、その新製品の企画段階で外国出願するべきかを検討しましょう。
 海外へ特許出願する場合には、日本特許出願の出願時で特許要件が審査されるという優先権制度が利用できます。優先権制度の期間は日本の特許出願日から1年です。その間に、どの国に特許出願すべきか、PCT(特許協力条約)出願するかを考えましょう。

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 09 

企画・開発段階/権利取得
キーワード:外国出願の補助金

   外国出願の補助金・助成金の有無を調査したか。

海外に特許出願する費用は、翻訳代もかかることから、一カ国毎に少なくとも50万円~200万円かかります。
 このため、海外での新商品販売を考えたり海外で新商品を製造することを考えたりしている企業を金銭的に助けるため、国の外郭団体や地方自治体等が補助金・助成金を用意しています。
 特許庁の下記URLには、海外で特許出願もしくは実用新案登録出願するため半額まで補助することが記載されています。
https://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/sesaku/shien_gaikokusyutugan.htm
 また、東京都内の中小企業であれば、東京都知的財産総合センターの下記URLに記載のとおり、海外で特許出願もしくは実用新案登録出願するため半額まで補助することが記載されています。
http://www.tokyo-kosha.or.jp/chizai/josei/

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 10 

製造段階/権利活用
キーワード:融資のための特許評価

   融資を受けるために、特許出願又は特許の技術評価をすべきか。

資金的に余裕のないベンチャー企業及び中小企業は、資金繰り対策という視点から、特許出願又は特許権を使って、ベンチャーキャピタル又は金融機関からの投資又は融資を受けることが可能です。
 特許権の評価には、定性評価と定量評価とがあります。
 特許権の定性評価とは、例えばその特許発明が広い権利であるとか、無効になりやすいと言った評価や、他社製品が自社の特許権の技術的範囲(権利範囲)に含まれるか否かといった評価もあります。
 定性評価に関しては、日本知的財産仲裁センターにて事業適合性判定を行っています。
http://www.ip-adr.gr.jp/business/compliance/
 一方、特許権の定量評価とは、例えば特許権の広さやその特許権が引用された回数などによる点数評価とか、この点数評価又は上述した定性評価に基づいて、金銭価値を評価する金銭価値評価があります。
 ベンチャー企業及び中小企業が保有する特許に対して、相応の金銭価値評価が得られれば、ベンチャーキャピタル又は金融機関から投資又は融資を受け易くなります。
 権利化された特許だけでなく、出願中の特許出願や特許出願されていないノウハウ等でも、金銭価値評価が得られます。
現在、特許庁が主導している知財金融ポータルサイト
http://chizai-kinyu.jp/
日本弁理士会所属機関である知的財産価値評価推進センターが運営するサイト
http://www.jpaa.or.jp/?p=456
などで、金融価値評価を受けることができます。

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 11 

製造段階/国内製造
キーワード:特許保証条項

   部品の供給先との契約書に、部品の特許保証条項が含まれているか。

製品は多くの部品からできています。最終製品を製造しているメーカーは、通常、部品の一部または大半を部品メーカーから購入して組み立てを行います。
 こうした購入部品が原因で自社製品が特許権侵害と言われたときには、部品メーカーに責任を求めることができるようにしておくべきです。
 部品を購入する際には、売買契約又は基本取引契約とかいう契約書を交わすことが一般的です。その中に、特許保証(又は特許補償)の条項があるでしょうか。
 この特許保証条項は、最終製品が特許権侵害していると第三者が警告してきたとき又は訴訟提起してきたときに、その特許権侵害の原因が部品にあれば部品メーカーが責任を取ります、という規定です。
 この条項がないと、技術内容を熟知している部品メーカーに代わって、最終製品を製造しているメーカーが反論することになります。一方で、特許保証条項があっても、特許権侵害に対して損害賠償が青天井にならないように、部品メーカーの責任負担の上限を決めていることも多いです。
 最終製品を販売しているメーカーと部品メーカーとの責任負担をどうすべきかなどを考慮して、両者が納得いく特許保証条項を入れるようにしましょう。

参考情報
「特許保証条項」は侵Q9海外進出編を参照してください。なお、侵Q9は部品供給側の立場から説明しています。

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 12 

製造段階/国内製造
キーワード:NDA条項

   製造委託先との契約書に、NDA条項、独自販売禁止等の条項が含まれているか。

自社が製品設計した後、他社に製品の製造委託することがあると思います。そのような場合に交わす契約を製造委託契約といいます。
 製造委託契約書に、報酬の額・支払方法の条項、品質保証の条項、検品条項などとともに、秘密保持条項(NDA)が記載されているでしょうか。
 製造委託する際には、仕様書や図面等により、製造対象となる製品の規格、品質、性能、形状、サイズ、製造方法等を詳細に定めます。
 そのような仕様書や図面等の秘密情報が委託先で不適に扱われ、公に公表されてしまったり競合他社に流れてしまったりしたら自社製品の優位性がなくなります。
 万が一、委託先で仕様書や図面等の秘密情報が公にならいように、秘密保持条項をきちんと入れるようにしてください。委託先での秘密情報の保管・管理についても、適切に運用することを規定しても良いと思います。

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 13 

製造段階/海外製造
キーワード:特許保証条項

   部品の供給先との契約書に、部品の特許保証条項が含まれているか。

国内で製造する場合と同じように、部品供給を受ける際には特許保証条項を入れておくべきです。
 製品は多くの部品からできています。最終製品を製造しているメーカーは、通常、部品の一部または大半を部品メーカーから購入して組み立てを行います。
 こうした購入部品が原因で自社製品が特許権侵害と言われたときには、部品メーカーに責任を求めることができるようにしておくべきです。
 部品を購入する際には、売買契約又は基本取引契約とかいう契約書を交わすことが一般的です。その中に、特許保証(又は特許補償)の条項があるでしょうか。
 この特許保証条項は、最終製品が特許権侵害していると第三者が警告してきたとき又は訴訟提起してきたときに、その特許権侵害の原因が部品にあれば部品メーカーが責任を取ります、という規定です。
 この条項がないと、技術内容を熟知している部品メーカーに代わって、最終製品を製造しているメーカーが反論することになります。一方で、特許保証条項があっても、特許権侵害に対して損害賠償が青天井にならないように、部品メーカーの責任負担の上限を決めていることも多いです。
 最終製品を販売しているメーカーと部品メーカーとの責任負担をどうすべきかなどを考慮して、両者が納得いく特許保証条項を入れるようにしましょう。

参考情報
「特許保証条項」は 侵Q9海外進出編を参照してください。なお、侵Q9は部品供給側の立場から説明しています。

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 14 

製造段階/海外製造
キーワード:NDA条項

   製造委託先との契約書に、NDA条項、独自販売禁止等の条項が含まれているか。

海外企業に製品を製造委託するのはビジネスリスクも大きいですが、特許侵害に対するリスクも倍増していきます。また、現地で製造していくと、ノウハウ流出にかかるリスクも出てきます。例えば、図面の持ち出しやノウハウの流出、さらにノウハウを取得した人が辞める可能性もあります。
 ノウハウの無用な流出を防止し、技術支援先や競合他社等に対する技術的優位性を確保するためにも、重要な技術を委託先に出す場合は必要最低限に絞る必要があります。また営業秘密の管理を徹底することが必要です。
 さて、海外企業との製造委託契約の際に特に注意しなければならないのは、検査や品質の確保の為の方法をできるだけ厳格に定めておくことが大切です。また、万が一問題が発生した場合の解決方法をできる限り明確に定めておくことが必要です。
 また、海外の製造委託先の中には、他の委託者の製品を製造する委託先があったり、委託先独自のブランドで製品を販売する会社もあったりすると思います。そのような製造委託先に製造委託する場合には、仕様書や図面等の秘密情報を使った独自製品の販売禁止の条項を必ず設けましょう。
 国によっては、問題解決に日本法の適用ができない国もあり、また英語など外国語の契約書が原本になることもあります。日本又は海外の専門家と相談して、製造委託契約書を作成することをお勧めします。

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 15 

販売(国内外)段階/他社権利対策
キーワード:特許無効の抗弁、ライセンス

   他社特許に対して特許無効の主張が可能か、不可ならライセンスはどうか。

自社商品を製造・販売してから他社特許が見つかることもあります。まずは専門家と他社特許の技術的範囲に自社商品が含まれるか否かを検討します。他社の技術的範囲に入るのであれば、商品の設計変更が可能か否かを検討します。
 商品の設計変更は、しばらくできない状況であれば、他社の特許が無効にならないかを検討します。
 特許無効資料を探す調査会社や事務所等がありますので、特許を無効にする特許公報や論文などの公知例を調査会社などに依頼することになります。特許権は、審査官が公知例を探してなかったために特許査定になっていることから、無効資料がそもそも無い可能性もあります。そのため調査会社等に特許無効資料の調査を依頼する際には、調査費用の上限を設定したり、調査範囲を設定したりして、無限に調査範囲が広がらないように依頼します。
 調査の結果、特許無効資料が見つかれば、専門家による特許無効鑑定書を用意したりします。この時点で、敢えて特許無効審判を請求することは一般に少ないです。自社商品が特許侵害していることに他社が気付いていないこともあり、寝た子を起こすようなことを敢えてしません。
 他社から警告書が届いたりして又はその特許で訴訟が提起されたりして、貴社が交渉する際に又は無効審判請求する際に、調査済の特許無効資料を持ち出せば良いです。
 調査の結果、特許無効資料が見つからなければ、特許ライセンスの途を探ります。また予想される特許ライセンス料を手当てする準備をします。
 特許ライセンスを自ら申し出るか、他社から警告書が届くまで特許ライセンスを待つか、商品の設計変更できる時期まで特許ライセンスを待つなど、交渉の色々な場面を想定してライセンスの時期を判断します。

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 16 

販売(国内外)段階/他社権利対策
キーワード:先使用権の抗弁

   他社特許に対して、権利非侵害、先使用権などの主張が可能か。

自社製品を製造・販売してから他社特許が見つかることもあります。自社製品が他社特許の技術的範囲に含まれなければ、特に問題ありません。他社特許の技術的範囲に自社製品が含まれる場合、他社の特許出願時にすでに自社製品の実質的な開発をしていたかを検討します。
 他社の特許許出願時以前から独立して同一内容の発明を完成させ、さらに、その発明の実施である事業をしていた者又はその実施事業の準備をしていた者は、その特許権に対して先使用権を主張することができます。
 ここで、実施事業の準備とは、特許出願に係る発明の内容を知らないでこれと同じ内容の発明をした者が、その発明につき、いまだ事業の実施の段階には至らないものの、“即時実施の意図”を有しており、かつ、その即時実施の意図が“客観的に認識される態様、程度において表明されている”状態です。
 どの程度の準備行為があれば「即時実施の意図」があり、その意図が「客観的に認識される態様、程度において表明されている」といえるかについては、事業の準備をしている発明の内容や対象により個々に異なりますので、専門家とご相談ください。

参考情報
「他社特許に対する先使用の抗弁」については侵Q31を参照してください。

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 17 

販売(国内外)段階/権利取得
キーワード:国内の他社製品の監視

   他社製品が当社製品と同じような技術を使っているかの監視ができているか。

自社商品を製造・販売していますと、似ている他社製品が販売されていたり自社製品の売り上げを妨げる他社製品が出てきたりします。
 このような他社製品の情報を特許部門まで報告するレポートライン(報告経路)を構築する必要があります。通常、他社製品の情報は、営業部門又は製品販売行う代理店等が見つけることが多いです。そのため、営業部門と報告の取り決めをしたり又は代理店との代理店契約に報告義務の条項を入れたりして、レポートラインを構築します。
 他社製品の情報が入れば、その他社製品をリバースエンジニアリングして、他社製品が自社特許の技術的範囲に含まれるか否かを検討します。仮に他社製品が自社特許の技術的範囲に含まれるなら、警告書を送るなどの対処方向を検討します。
 また、他社製品が自社特許の技術的範囲に入らなくても、未だ権利化されていない特許出願があったら、補正書を提出したり分割出願したりして、他社製品が自社特許の技術的範囲に含まれるようにし、自社製品を保護するような特許網を築きます。

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 18 

販売(国内外)段階/権利取得
キーワード:侵害行為の差止

   他社製品が権利侵害している場合、税関による差止申請するか、民事・刑事で訴えるか。

他社製品が自社特許の技術的範囲に含まれる場合、どのような対応をすべきかを検討します。一般には、警告書を送るなどして、当事者同士で解決策を探りますが、当事者同士で解決策が見いだせない場合には、裁判所での民事手続を検討します。
 その民事手続きとして、侵害行為等の差止めを求めること、損害賠償を請求すること、不当利得の返還を請求すること、信用回復のための措置等を求めることが可能です。
 損害賠償を請求する際、損害賠償額の立証活動は困難な場合が多くあります。そこで、特許法は損害額について算定規定を設けています(特許法第102条)。また、損害賠償請求の前提として必要な侵害者の故意・過失について、侵害行為について過失があったものと推定する規定があります(特許法第103条)。特許権者から侵害者に対する損害賠償請求を容易にしています。
 他社製品が外国から輸入される場合には、税関に対する輸入差止申立て制度を利用することができます。輸入差止申立て制度は迅速性に優れています。さらに、認定手続きで侵害疑義物品が侵害認定されると税関長の権限で侵害品を没収・廃棄することができるので,輸入者の侵害行為を強力に抑止することができます。
 また、特許権を侵害されたときには刑事責任の追及も視野に入れることができます。

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 19 

販売(国内外)段階/権利活用
キーワード:開放特許

   開放特許として他社にライセンスするか。

開放特許とは、特許権者が特許発明を独占的に実施するよりも、第三者にその特許発明を実施してもらった方が良いと考え、一般に開放している特許のことを意味します。開放という意味は、特許権を放棄している訳ではなく、開放特許を利用したい場合は特許権者との契約が必要となります。
 開放特許が第三者に使用されることで、特許権者はライセンス収入を見込むことができます。また、特許権者が特許発明を実施していない、いわゆる休眠特許を開放特許として第三者に実施させることで、経済社会の発展の一助となる可能性があります。
 特許権者がその特許発明を実施している場合であっても、その発明を技術標準にしたい場合又は市場自体を拡大させたい場合等には、その特許発明を開放特許として、無償又は低料金でライセンスすることもあります。また、資金面やノウハウの不足などで独自の開発に限界を感じた場合、開放特許にすることで第三者と手を組んで、より高いレベルでの製品化又はより広い市場での展開を狙うこともあります。
 開放特許として開示するためには?
開放特許として開示したい場合は、工業所有権情報・研修館のホームページで、企業や研究機関等の開放特許として登録することができます。ここに掲載されますと、多くの企業又は大学等の開放特許が一括して検索されます。公的なサービスとして運営されているため無料で利用でき、多くの開放特許がデータベースに登録されています。
http://plidb.inpit.go.jp/PDDB/Service/PDDBService

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 20 

販売(国内外)段階/海外製造
キーワード:特許ライセンス、ライセンス登録

   他社に特許ライセンスをする場合に、特許ライセンスに関する法制度がどうなっているかを確認できているか。

海外で他社に製品を製造させる等の契約をする場合には、その製品に関する特許ライセンスも同時に契約することが多いと思われます。日本では当事者間で通常実施権(特許ライセンス)を契約で結ぶだけで、特許庁に届け出なくても当然に対抗できますが(特許法第99条)、海外では通常実施権(特許ライセンス)を届け出ることを義務付けている国もあります。各国毎に制度が違いますし、ライセンス料(ロイヤリティ)の送金の問題も含みますので、ある国で特許ライセンス契約する際には、現地専門家と相談してください。
 アジア地域の主要な国の制度は、以下の通りです。

1.中国における特許ライセンス
 特許ライセンスについてはライセンスの契約発効の日より起算して3ヶ月以内に、国務院特許行政部門に届け出なければなりません(専利法実施細則第14条第2項)。特許ライセンス登録しない場合であっても、契約自体は有効ですが、特許ライセンスのロイヤルティを海外送金する際に、ライセンス登録の確認が必要なときがありますので留意してください。
2. インドにおける特許ライセンス
 特許ライセンスが法的に有効と認められるためには、特許庁に対する特許権のライセンス契約の登録(特許法69条)が必須です。ライセンス登録の日をもって、ライセンシーは実施権があるものと認められるので、ライセンスを登録しない場合、ライセンシーは将来、特許権者との間に争いが生じた場合、契約書があるのみでは、使用する権利がないものと判断されるおそれがあります。
3.タイにおける特許ライセンス
 特許ライセンス契約については、知的財産局への登録が義務づけられており(特許法41条)、ライセンス契約の登録は、申請書とライセンス契約書を知的財産局に提出することになります。
4.インドネシアにおける特許ライセンス
 特許ライセンス契約は、登録がされなければ第三者に対応できないとされています(特許法72条)。しかし、実施規則が定まっておらず、申請は受理されますが、登録がされているわけではありません。
5.ベトナムにおける特許ライセンス
 特許ライセンス契約は、登録がされなければ第三者に対応できないとされています(知的財産法142条)。

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 21 

販売(国内外)段階/海外展開
キーワード:海外の他社製品の監視

   他社製品が当社製品と同じような技術を使っているかの監視ができているか。

海外で自社商品を製造・販売していますと、似ている他社製品がその国で販売されていたり自社製品の売り上げを妨げる他社製品が出てきたりします。
 特に海外の他社製品の情報は、特許部門まで入ってこないことがあります。このため海外から特許部門へ報告するレポートライン(報告経路)を構築する必要があります。通常、他社製品の情報は、製品販売行う代理店等が見つけることが多いです。そのため、代理店との代理店契約に報告指示の条項を入れたりして、レポートラインを構築します。
 他社製品の情報が入れば、その他社製品をリバースエンジニアリングして、他社製品が自社特許の技術的範囲に含まれるか否かを検討します。
 他社製品がデッドコピーのような模倣品である場合には、その他社製品の製造元や販売ルートが不明であったりします。現地の探偵会社等を使って製造元や販売ルートを調査しましょう。

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 22 

製造・販売終了段階/権利取得
キーワード:特許維持年金

   関連する特許の年金を支払い続けていないか。

特許権は、最初に1年から3年の特許料を支払ったのち、4年目以降各年の維持年金を支払う必要があります。
 そのため、権利放棄の指示がない限り、権利維持と判断して自動的に年金納付をしていることも多いです。
 製品の製造・販売中止になったら、その製品に関連する特許の年金が支払われていないかを確認する必要があります。または年に一度、権利維持している特許の棚卸を実施した方がよいでしょう。特許権がなくなることで、第三者がその発明を実施することができ、経済社会の発展の一助となる可能性があります。
 特許の年金は、段階的に代金も高くなるように設定されています。このことからも、製品に関連する特許を維持すべきか否かを判断しましょう。
 なお、年金の支払いを停める際には、他社との特許ライセンス契約もしくはクロスライセンス契約の対象特許でないかもチェックしてください。

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 23 

製造・販売終了段階/権利取得
キーワード:他社への特許譲渡

   特許を他社に譲渡する、又はライセンスを与えるか。

製品の製造・販売中止になったら、その製品に関連する特許を独占させておく必要がありません。特許を他社に譲渡するか又は特許ライセンスするかを検討しましょう。
 その製品の製造・販売中止により、製造設備等も不要となっているなら、特許権を含めてその事業全体を譲渡することも検討しましょう。事業全体を買収しようとしている相手方は、すぐに事業を開始できるように、特許権なども含めての買収を望む傾向があります。
 また、特許ライセンスに関しては、開放特許として他社にライセンスすることも検討しましょう。

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■デザインの解説
 01 

市場調査段階/他社権利対策
キーワード:登録意匠調査

   登録意匠の調査を行ったか。

新しい商品を市場に出す場合は、その外観について他者が意匠権を有している場合があります。たとえ同様な外観を有する商品が市場になかったとしても、意匠登録され意匠権が発生している場合もあります。事前に登録意匠調査を行うことが必要です。なお、意匠調査は産業財産権DBサイトである
「J-PlatPat」(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)
を使って、自らある程度までの調査ができますから、費用をかけられない場合であっても、このサイトを利用して調査することをお勧めします。なお、意匠登録は出願して1年前後かかり、公開されません。そのため、調査できない不能期間があることを心得ておく必要があります。
 また、「意匠権」は登録された意匠の類似範囲にまで及びます。同一ではないものの、似た登録意匠が発見された場合は、弁理士等の専門家に類否判断を依頼することが安心です。
 商品開発において登録意匠調査を行って、資料として先行登録意匠リストを作成することも有効です。
(一社)日本デザイン保護協会(http://www.jdpa.or.jp/)が有料の調査サービスを提供していますから、相談してみるのもよいでしょう。

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 02 

市場調査段階/他社権利対策
キーワード:公知意匠、不正競争防止法

   市場における公知意匠の確認を行ったか(不正競争防止法)。

意匠権の他、他社商品の外観が新しいものであった場合、不正競争防止法によって制限される可能性があります。不正競争防止法による制限は、意匠権侵害とは別の法理によって行われるものですから、たとえ先行する他者製品に意匠権が発生していないとしても、不正競争防止法により、その外観と類似する商品の製造販売が制限される場合がありますので注意しましょう。なお、商品の外観に関する不正競争防止法の規定には、次の2つがあります。
 ①商品形態の混同惹起行為(不競法2条1項1号):他社商品が周知である場合、それと類似する形態を販売し、混同を生じさせる可能性がある場合は、差止め、損害賠償等の対象となります。
 ②デッドコピー行為(不競法2条1項3号):他人の新しい商品の外観は、周知であるか否かに関係なく、3年以内に同じ外観を販売する場合は、同様に差止め、損害賠償等の対象となります。

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 03 

企画・開発段階/権利取得
キーワード:職務創作、職務創作の規定、職務著作

   社内デザインの場合、就業規則において「意匠登録を受ける権利」の継承がなされることを確認したか。

従業者が職務において意匠を創作した場合であっても、なんら会社と従業者間に取り決めがなければ、「意匠登録を受ける権利」は従業者に帰属し、従業者が意匠登録を得た場合に、会社はその意匠権に対する通常実施権を有するのが原則です(準用する特許法35条3項)。
 一方で、職務創作である場合は、契約、勤務規則その他の定めにおいて、あらかじめ使用者等に特許を受ける権利を取得させることを定めたときは、意匠登録を受ける権利は、その発生した時から会社に帰属させることができます(同法2項)。但し、本規定を適用する場合は、従業者が「相当の利益」を得る権利を有しますから(同法4項)、職務創作の場合の権利帰属ルールについては弁護士や弁理士のアドバイスを受け、規定して準備しておくようにしましょう。
 なお、「著作権」については、仮に創作した意匠に美術の著作物となる要素があっても、従業者の創作が職務著作に該当する場合は、法律上、会社そのものが著作者(当然に著作権者)になりますから、契約等による譲渡は必要ありません(著作権法15条)。

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 04 

企画・開発段階/権利取得
キーワード:社外デザイナーによる創作、意匠登録を受ける権利の帰属

   社外デザインの場合、契約書によって「意匠登録を受ける権利」「著作権」の承継がなされることを確認したか。

業務において社外デザイナーに製品デザインの発注を行うことがあります。この場合、意匠の創作者は社外デザイナーであり、原始的に「意匠登録を受ける権利」も社外デザイナーに帰属します。デザイン委託契約書に「意匠登録を受ける権利」の譲渡が明記されていない場合、たとえデザイン料として対価が支払われていても、会社に「意匠登録を受ける権利」が移転していないと判断される場合があります。意匠法には、移転申請制度が存在し、この場合、社外デザイナーに「意匠登録を受ける権利」が残留していると判断され、社外デザイナーからの移転請求により意匠権が移転する場合があります(意匠法26条の2)ので注意が必要です。
 また、納品された製品デザインに美術の著作物的な要素がある場合、「著作権」の帰属が問題になる場合があります。このため、「著作権」についても、デザイン委託契約書において、①納品したデザインが納品者の著作物であることの権限保証、②著作権法27条・28条の権利を含めた著作権の譲渡明記、③著作者人格権の不行使の3点が記載されているかを確認しましょう。
 社外デザイナーへデザイン発注を行う場合は、契約書に次の約定を入れるようにしましょう。


参考情報(権利の譲受人から提案する場合の一例)
 第〇条 (権限保証)
  甲(デザイナーA)は、乙(委託会社B)に対し、本デザインが第三者の権利を侵害しないものであることを保証する。
 第〇条 (権利の帰属)
  本デザインに係る意匠登録を受ける権利並びに本デザインの著作権 (著作権法27条及び28条の権利を含む) は、対価の完済により乙に移転する。
 第〇条 (乙による改変)
  1 乙が本デザインの改変を行う場合には、甲の承諾を必要としない。
  2 乙は、本デザインを利用するにあたって、意匠の創作者あるいは著作者として甲の表示をすることを要しない。

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 05 

企画・開発段階/権利取得
キーワード:持ち込み企画、意匠権の取扱、著作権の取扱

   他社からの持ち込み企画の場合、契約書において「意匠権」の取得・実施権、「著作権」の取り決めがあることを確認したか。

他社からの持ち込み企画の場合、「意匠権」及び「著作権」の取り決めを行う必要があります。一般に、他社との関係では、(A)権利を共有する、(B)自社が権利を取得する、(C)他社が権利を取得したうえで、自社は実施権のみを取得する、という3つのオプションから選択することになります。「著作権」であれば創作とともに権利が発生しますが、「意匠権」は新規性が失われない間に特許庁への出願手続きを行う必要がありますので、上記オプション(C)を選択する場合は、他社に「意匠権」の取得を促す必要があります。また、「著作権」に関しては、「著作者人格権」の取り扱いについても、取り決めが必要です

参考情報
意匠登録を受ける権利等の譲渡等の契約については、デザインの解説04を参照してください。

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 06 

企画・開発段階/海外製造
キーワード:持ち込み企画、意匠権の取扱、著作権の取扱

   他社からの持ち込み企画の場合、契約書において「意匠権」の取得・実施権、「著作権」の取り決めがあることを確認したか。

基本的には国内における持ち込み企画と同じです(デザインの解説05参照)。なお、「意匠権」は、各国で独立して成立するものですから、国内で「意匠権」を確保したとしても、他国では別途、意匠登録をする必要があります。国内で意匠登録出願を行った場合、条約により外国での意匠出願に6か月の優先権が認められますから(パリ条約4条)、この制度の利用を検討すると良いでしょう。
 なお、生産も担当する海外のパートナー会社が、相手市場においては、自ら製造販売するという取り決めを行う場合もあると思われます。この場合、同一製品が相手市場に留まる場合は問題ありませんが、それが日本の市場に輸入された場合、日本市場での販売に支障を生じさせる可能性があります。日本で「意匠権」を取得していれば、一定の条件を満たせば並行輸入を禁止することができますので、対策を検討すると良いでしょう。

参考情報
「意匠権に基づく並行輸入対策」については侵Q26を参照してください。

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 07 

製造段階/権利取得
キーワード:新規性の喪失、救済手続き

   意匠出願の検討を行ったか(公表等により新規性を失う前に行う)。

意匠登録の要件として、新規性が求められます。自社ホームページに公開する、試験販売する、サンプルを頒布する、業界誌の取材を受けるなど、これらいずれもが新規性を失わせる行為です。意匠出願を行うかどうかの検討は、製品の外観が決定した早い段階で行うようにしましょう。
 なお、新規性を失った時点から6か月以内であれば、所定の手続きを行ったうえで出願を行えば救済されますので、同手続きも検討する必要があります。

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 08 

製造段階/権利取得
キーワード:特実面からの保護

   特許出願・実用新案出願の検討を行ったか(公表等により新規性を失う前に行う)。

物品の外観であっても、それに機能が認められる場合は技術思想として、特許や実用新案登録を受けられる場合があり、より広い範囲をカバーすることができる場合があります。意匠出願のみならず、特許出願や実用新案出願の検討も行うようにしましょう。なお、特許や実用新案登録の要件として、新規性が求められます。特許出願、実用新案出願の場合も、自社ホームページへの公開や試験販売などの前に、出願を行うようにしましょう。

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 09 

製造段階/国内製造
キーワード:秘密保持契約

   製造委託する場合は、NDA契約を行ったか。

意匠は物品の外観ですから、真似されやすく、また、他社を通じて公表されないとも限りません。製造委託する場合は、少なくとも製品が発売されるまで、模倣防止のみならず、意匠出願のための新規性を確保するために、製造委託する製品の情報に関してNDA(秘密保持契約)を結ぶ必要があります。以下、NDAの簡単な文章例を示しますので、参考にしてください。

参考情報(本契約は業務委託者(甲)の立場からの一例です)


第〇条
 1項 本契約において、「秘密情報」とは、甲(業務委託者)が乙(業務受託者)に本件取引を通じて開示した甲の製品に関する未公開の情報をいう。 秘密情報には、甲の未発表の製品、 製品のマーケティングおよびプロモーションその他の情報が含まれ、また、甲のその他の秘密情報ならびに乙が受領した情報で甲が秘密情報として取り扱うことを義務づけた情報が含まれる。
第〇条
 2項 乙は、前項の秘密情報を、本件取引のためにのみ受領するものとし、甲の許可を得た場合を除き、他の目的(産業財産権の取得を含む)のためにも使用しないことに合意する。また、乙は、秘密情報の取扱いに留意し、 他のいかなる第三者に対してもこれを開示しないことに合意する。
 3項 第1項及び前項の規定に関わらず、次の各号のいずれかに該当する秘密情報については、乙は、本契約に基づく秘密保持義務を負わない。
 1. 本契約に違反することのない、現在公知の情報、または後に公知となった情報。
 2. 甲が書面により明示的に発表を承認した情報。
 3. 第三者から適法に取得し、秘密保持義務を負わない情報。
 4. 甲から第三者に対して開示され、秘密保持義務を負わなくなった情報。
 5. 当該開示以前にすでに乙が知っていた情報。
 6. 乙が、甲による開示とは別に、独自に開発した情報。

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 10 

製造段階/海外製造
キーワード:秘密保持契約

   製造委託する場合は、NDA契約を行ったか。

海外のパートナー工場に製造委託する場合も、秘密保持契約(NDA)を結ぶ必要があります。

参考情報
「契約の文面」についてはデザインの解説09を参照してください。

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 11 

製造段階/海外製造
キーワード:海

   製造委託する場合、現地での販売について禁止、あるいは他の取り決めを行ったか。

海外のパートナー工場に製造委託する場合、余分に製造した製品がその国の市場へ横流しされる可能性があります。他国市場のみの問題ではなく、かかる非正規品が国内市場に輸入される可能性があるからです。
 基本的な契約として、委託先との間で、「製造委託により製造された製品の全てを、委託者に引き渡すこと」「余分に製造した製品・または不良品を製造委託者以外に引き渡さないこと」を明記し、違反した場合のなんらかのペナルティを記載しておきましょう。

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 12 

製造段階/海外製造
キーワード:製造国での意匠権取得

   製造国での意匠出願の検討を行ったか(国内出願を基礎にした優先権主張)。

海外のパートナー工場に製造委託する場合は、非正規品の横流し問題が発生する可能性があります。 製造国において、「意匠権」を取得することで、製造国内での製造販売について、コントロールすることができます。国内出願を基礎に外国において意匠出願を行う場合は、6か月の優先権が認められますから(パリ条約4条)、この制度の利用を検討すると良いでしょう。
 なお、海外のパートナー工場に所定の商品販売を許諾する場合、下記のように、商標権によるコントロールと同様、ホログラム証紙を商品に貼付するなどして、正式な商品であることを示すことも重要です。

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 13 

製造段階/海外展開
キーワード:販売国での意匠権取得

   販売国での意匠出願の検討を行ったか(国内出願を基礎にした優先権主張)。

他国で製品の販売を予定している場合は、販売国において「意匠権」を取得することを検討しましょう。ヨーロッパ意匠登録制度を用いれば、EU全域をカバーした広域意匠権を取得できますし、また、ハーグ条約ジュネーブ改正協定を用いることで、単一の意匠出願で、多国指定を行うことができます。
 なお、ハーグ条約ジュネーブ改正協定に基づく意匠出願はジュネーブにあるWIPO事務局へ直接出願するか、あるいは日本特許庁を介して間接出願することができます。出願国として指定できる締約国等の情報並びに出願料については、次のサイトで確認ください。
http://www.jpo.go.jp/seido/kokusai/kokusai_shutugan3/index_hague_1.html

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 14 

販売(国内外)段階/他社権利対策
キーワード:登録意匠調査

   他者登録意匠の調査・確認を行ったか。

新しい商品を市場に出す場合は、その外観について他者が意匠権を有している場合があります。たとえ同様な外観を有する商品が市場になかったとしても、意匠登録され意匠権が発生している場合もあります。事前に登録意匠調査を行うことが必要です。なお、意匠調査は産業財産権DBサイトである
「J-PlatPat」(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/) を使って、自らある程度までの調査ができますから、費用をかけられない場合であっても、このサイトを利用して調査することをお勧めします。なお、意匠登録は出願して1年前後かかり、公開されません。そのため、調査できない不能期間があることを心得ておく必要があります。
 また、「意匠権」は登録された意匠の類似範囲にまで及びます。同一ではないものの、似た登録意匠が発見された場合は、弁理士等の専門家に類否判断を依頼することが安心です。
 商品開発において登録意匠調査を行って、資料として先行登録意匠リストを作成することも有効です。
(一社)日本デザイン保護協会(http://www.jdpa.or.jp/)が有料の調査サービスを提供していますから、相談してみるのもよいでしょう。

参考情報
「登録意匠の調査」はデザインの解説01を参照してください。

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 15 

販売(国内外)段階/他社権利対策
キーワード:第三者の登録意匠、抗弁(有効性等)

   該当する他者登録意匠や著作物がある場合、対応策を検討したか(権利排除・非該当・適法性主張)。

デザインの解説14(他者登録意匠の調査・確認を行ったか)の事前調査により、近似する登録意匠が発見された場合は、その対策を立てる必要があります。次の3つのオプションを単独で、あるいは組み合わせて対応策を練る必要があります。
 ①権利排除:「意匠権」の場合であれば、先行する公知意匠調査を行い、意匠登録の無効審判を検討します。「著作物」の場合は、それが著作権法上、保護対象とならないものであることを検討します。相手方の権利を消滅させることができれば、権利侵害ではなくなるからです。
 ②非該当:「意匠権」の場合であれば、同登録意匠と非類似であることを主張できないかを検討します。また、「著作権」の場合も、同様に同著作物との共通部分に著作物性が成立しないことを検討します。相手方の権利範囲外にあることが認められれば、権利侵害ではなくなるからです。
 ③適法性主張:「意匠権」の場合であれば、同登録意匠の出願日以前に実施、または実施の準備をしていれば先使用権を主張できます(意匠法29条)。また、「著作権」の場合は、同著作物へのアクセスがなく独自に創作されたものであることを立証できれば、権利侵害になりません。いずれも、相手方の権利の有効性に異議を申し立てることなく、適法に現在の製造販売を継続することができます。

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 16 

販売(国内外)段階/他社権利対策
キーワード:海第三者の未登録意匠、不正競争防止法

   近似する他社製品が市場に存在する場合、対応策を検討したか(保護利益否定・非該当・除外主張)。

市場において、すでに近似する他社製品が存在する場合は、不正競争防止法により、差止めや損害賠償を請求される可能性があります。次の3つのオプションを単独で、あるいは組み合わせて対応策を練る必要があります。
 ①保護される利益を否定:「2条1項1号の商品等混同惹起行為」に該当する可能性があるとすれば、相手方製品がどの程度、市場において周知になっているかを検討します。「2条1項3号のデッドコピー行為」に該当する可能性があれば、その形態が「商品の機能を確保するために不可欠な形態」に該当しないかを検討します。前者の場合、周知を否定できれば、保護される利益は存在しません。また、後者の場合、商品の機能から当然な形態と言えれば、同様に保護される利益は存在しません。
 ②非該当:「2条1項1号の商品等混同惹起行為」の場合であれば、こちらの製品が、需要者に混同を与えるほど類似しているか否かを検討します。「2条1項3号のデッドコピー行為」の場合は、「模倣」と言えるほど類似するか否かを検討します。前者の場合は、相手方の製品の周知性の程度により混同する範囲は増減しますが、後者の場合はその適用範囲は狭いと考えられます。摘要範囲外にあることが認められれば、これら規定の適用はなくなります。
 ③除外主張:「2条1項1号の商品等混同惹起行為」の場合、周知になる以前から使用を開始していた場合は、本規定の適応がありません(不競法19条1項3号)。また、「2条1項3号のデッドコピー行為」の場合は、相手方製品が市場に投入されて3年以上経過すれば除斥となりますので(不競法19条1項5号イ)、相手方製品の販売履歴を確認することが必要です。この期間を経過していれば、適法に現在の製造販売を継続することができます。

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 17 

販売(国内外)段階/権利行使
キーワード:模倣品の発見、権利行使、類否判断

   模倣品が現れた場合、「意匠権」「著作権」の行使を検討したか。

まず、行使できる権利を確認しましょう。意匠登録を行い「意匠権」を有している場合は、相手方の模倣品が登録意匠と同一、もしくは類似であるかを検討する必要があります。類似か否かの判断は、主観ではなく、共通点・相違点を上げ、それぞれについて評価をしたうえで総合的に判断します。また、同一分野の先行公知意匠も考慮する必要があります。弁理士等の専門家に相談して、判断を仰ぐと良いでしょう。また、「美術の著作物」と認められる可能性がある場合は、相手方製品との共通点について、思想感情の表現としての著作物性が主張できるかどうかについて、判断を行う必要があります。この判断も、過去の判決例などに当たって検討する必要がありますから、弁護士・弁理士等の専門家に相談することが望ましいでしょう。
 なお、権利侵害を主張された場合、相手方も対応策を立ててくるものと思われます。それぞれについて、どのように議論するかを、予め検討しておくことが必要です。

参考情報
「他者登録意匠対応」についてはデザインの解説15を参照してください。

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 18 

販売(国内外)段階/権利行使
キーワード:模倣品の発見、不正競争防止法

   模倣品が現れた場合、不正競争防止法の行使を検討したか。

自社製品が、特異な外観を有するものとして市場において周知性を獲得している場合は、不正競争防止法2条1項1号の商品等表示混同惹起行為の主張を検討します。また、自製品が市場に投入して未だ3年経過していない場合は、同法2条1項3号のデッドコピー行為の主張を検討します。
 なお、権利侵害を主張された場合、相手方も対応策を立ててくるものと思われます。それぞれについて、どのように議論するかを、予め検討しておくことが必要です。

参考情報
「近似する他社製品が市場に存在する場合の対応」についてはデザインの解説16を参照してください。

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 19 

販売(国内外)段階/権利行使
キーワード:模倣品、日本市場流入、税関差止

   模倣品が海外から輸入された場合、輸入差止手続きを検討したか。

模倣品が、輸入品である場合、「意匠法」、「著作権法」、「不正競争防止法」に基づいて関税法に基づく輸入差止めを主張することができます。「意匠法」は特許庁に審査を経たうえで認められた権利であるため模倣品が権利範囲に入るか否かを議論すれば足りるのに対して、「著作権法」や「不正競争防止法」は、まず自らの権利や保護される利益が存在することから証明していく必要があり、税関において主張するにはハードルが高いということができます。

参考情報
「意匠の輸入差止の手続き」については、侵Q25を参照してください。

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 20 

販売(国内外)段階/海外製造
キーワード:ライセンス登録

   他社に意匠ライセンスをする場合に、意匠ライセンスに関する法制度を確認したか。

日本では専用実施権のみ、意匠原簿への登録が効力発生要件になっていますが、海外では通常実施権についても登録を義務付け、これを効力発生要件あるいは第三者対抗要件としている国もあります。各国毎に制度が違いますし、また、ライセンス料(ロイヤリティ)の送金の問題も含みますので、ライセンス契約する際には、現地専門家と相談してください。

参考情報
「アジア各国でのライセンス登録義務」については、技術・ノウハウの解説20を参照ください。

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 21 

販売(国内外)段階/海外展開
キーワード:模倣品、日本市場流入、意匠権の行使

   販売国で模倣品が現れた場合、「意匠権」の行使を検討したか。

海外の販売国で「意匠権」を取得している場合は、その行使を検討します。「意匠権」の権利範囲はそれぞれ国により異なりますので、現地弁護士や弁理士等の代理人に検討を依頼する必要があります。費用対効果も重要ですので、現地弁護士等のアドバイスを受け手、警告書送付から訴訟、さらに国によっては行政対応を選択するなどを検討しましょう。
 なお、国によっては、工業デザインを「著作権」として保護する国もありますが、工業デザインの保護は各国間の相互主義が適用されるため(ベルヌ条約2条(7))、工業デザインを著作権法で保護することが明記されない日本国民がこの利益を得ることは難しいと考えられます。

参考情報
「模倣品対策」については技術・ノウハウの解説21を参照してください。

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 22 

販売(国内外)段階/権利行使
キーワード:不正競争、パッシングオフ

   販売国で模倣品が現れた場合、不正競争防止法の行使を検討したか。

日本のように、特許庁の登録を経ずとも、市場における商品の価値を一定の条件のもとに保護する意味での、不正競争防止法を有する国は、韓国、中国、台湾、ドイツなど、極めて限られています。
 そのうえで、著名商標ではなく、商品の外観が保護される場合はさらに限られると考えられ、たとえ商品の外観が一定の周知性を獲得しても、日本と同様な保護を海外で期待するのは難しいと思われます。
 なお、欧米の判例法をとる国では、他人の商品との意図的な混同が認めら得た場合、パッシングオフの法理によりこれを排除できる場合があるため、周知な商品の外観にこの理論が適用可能かどうかについては、現地弁護士等の専門家に相談することが望ましいでしょう。

参考情報
「中国の反不正当競争法における商品形態の保護」については侵Q28を参照してください。

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 23 

製造・販売終了段階/権利取得
キーワード:意匠権、登録維持年金

   年金の支払いの継続を検討したか。

意匠登録も、特許や実用新案と同様に登録を維持するには特許庁に年金を支払わなければなりません。実施していない意匠に費用を払い続けることについては再考する必要があります。
 しかし、一方で一旦年金の支払いを中止すれば、原則として意匠登録を復活することはできません。意匠は、自ら実施していなくても、他人の実施を制限するため、意匠権のウォッチングをしている他者が、意匠権の消滅をきっかけに同一・類似の外観を有する製品を市場に参入することも考えられます。
 さらに、意匠権で守られた状態で販売された製品は、市場にその識別性が残存している場合があります。現在、商品外観も立体商標として登録される場合がありますので、同事実が立体商標の登録の足掛かりになる可能性もあります。  年金の支払い継続については、十分な検討を行ったうえで行う必要があります。

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■ブランドの解説
 01 

市場調査段階/他社権利対策
キーワード:ブランディング、商標権侵害の回避、マーケティング

   市場動向に加え、販売する製品に競合他社はどのような商標を使用しているかを確認したか。

商標は、商品がヒットするための要素のひとつとなりえます。よって、事前に市場でどのような商品、商標が消費者に好まれるかをリサーチし、商標選択の目安とすべきでしょう。
また、他社の商標や商品デザイン等を真似ることは、商標権侵害、意匠権侵害、不正競争行為、場合によっては著作権侵害につながるおそれがありますので避けてください。

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 02 

企画・開発段階/権利取得
キーワード:商標権侵害の回避、外国商標調査の手順

   商標の候補を絞り、商標調査・出願をしたか(国内及び海外)。

商標の候補を採択したら、日本及び外国で商標調査を行います。これは商標権侵害を未然に防ぐためです。商標登録までに、多くの国では、問題がなければ大体1年半程度で登録することができますので、商標の使用開始から2年以上前に調査をすることをお勧めします。
 商品(たとえば薬剤)によっては、もっと前から商標を採択し、調査をする必要があります。
 使用国の数が多ければ多いほど、すべての国で使用可能となる確率が下がりますので、国が多い場合には3~5件の候補を準備したほうがよいかもしれません。
 費用を抑えるためには、まず主要国(日本)で調査を行い、問題がない場合にのみ外国での調査をする方法があります。その他、外国について、民間のデータベースで同一性の調査を行い、問題がない場合に、専門家にフルサーチ(類似範囲までの調査)を依頼するという方法もあります。
 米国、英国、香港、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド等のコモンローの国では、登録されていなくとも、使用されているだけで商標権が発生している場合がありますので、コモンローサーチもすることをお勧めします。
 なお、海外で商標登録を受けた際には、登録証を大切に保管してください。登録証は商標権を証明するものであり、国によっては登録の更新の際に必要となりますので注意してください。

参考情報
「商標調査の方法等」については、侵Q20及び侵Q36を参照してください。

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 03 

企画・開発段階/権利取得
キーワード:著作権侵害の回避、外部デザイナーによるロゴ作成

   ロゴデザインの場合にはデザイナーから著作権を譲り受けたか。

ロゴデザインをデザイナーに依頼した場合には、著作権の譲渡を受けておくことをお勧めします。デザインを委託する際に、著作権の譲渡について明記し、著作権法第27条・28条の権利を含めて著作権を譲り受けること、そのデザインが納品者の著作物であることの権限保証、著作者人格権の不行使について確認しましょう。
 例えば、著作者人格権に含まれる同一性保持権が原著作権者に残ると、そのロゴマークを改変することができなくなり、後々問題が生じることがあります。

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 04 

企画・開発段階/権利取得
キーワード:費用の節約、外国出願の助成金

   海外出願について助成金の確認をしたか。

中小企業は、国及び地方公共団体から海外商標出願にかかる費用の助成をうけられることがあります。このような制度を活用し、効率的に海外出願をしましょう。

参考情報
平成28年度中小企業知的財産活動支援事業費補助金(中小企業等外国出願支援事業)
https://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/sesaku/shien_gaikokusyutugan.htm
東京都知的財産総合センター
http://www.tokyo-kosha.or.jp/chizai/josei/

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 05 

製造段階/国内製造
キーワード:商標権侵害の防止、委託先に対する商標使用管理

   委託製造をする場合には、委託先との契約を締結したか。

国内で委託製造をする場合、商標の使用についても委託契約に盛り込むことが必要です。注文した数量以上の製品の製造禁止のほか、製品を製造する際に使用したロゴデータの取扱い等について定めた、秘密保持のためのNDA契約を結ぶことをお勧めします。

参考情報
「NDA契約」の文例についてはデザインの解説9を参照してください。

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 06 

製造段階/海外製造
キーワード:模倣品対策、委託先による横流し

   委託製造をする場合には、委託先との契約を締結したか。

外国で商品を委託製造する場合には、製造業者による横流しによって模倣品被害を受けている企業が多いことから、注文した数量以上の製品の製造禁止、商品製造に使用したロゴデータの取り扱い等について詳細に契約で規定することをお勧めします。また、販売地についても定めるべきです。
 製造数量の管理に関しては、シリアルナンバー入りのホログラムを製品に付けることを義務付けたり、証紙をはったりする場合もあります。 模倣品と真正品とを区別する目印は、委任者の営業秘密に属す情報ですので、取扱については注意し、製造者との間で秘密保持のためのNDA契約を結ぶようにしましょう。

参考情報
「NDA契約」の文例についてはデザインの解説9を参照してください。

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 07 

販売(国内外)段階/他社権利対策
キーワード:商標権侵害の回避、商標ライセンス

   ライセンスを受ける場合には、ライセンス契約は済んだか。

商標調査の段階で他人の先登録商標が発見された場合、そのような商標と同一または類似の商標を使用することは他人の権利の侵害になります。しかし、その他人からライセンスを受けることができれば、合法的にその商標を使用することが可能です。
よって、ライセンスを受けることを前提としてその商標を採択したならば、販売を開始する段階で再度、ライセンス契約を適切に結ぶことができたかどうか確認してください。

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 08 

販売(国内外)段階/他社権利対策
キーワード:商標の適正使用

   他人の商標権に抵触しないように使用態様を確認したか。

商標は、使用態様によって他人の権利に抵触する場合があります。たとえば、結合商標の場合、一連一体の態様(たとえば「もみじばやし」)であれば、他人先登録商標(たとえば「もみじ」)と類似せず、権利を侵害しないと考えられますが、「もみじ」と「ばやし」を二段に分けて記載したり、「もみじ」を極端に大きく、「ばやし」を小さく記載した場合には、「もみじ」が分離して単独の商標とみなされることになります。そうすると、他人の商標「もみじ」にかかる権利に抵触するおそれがありますので、注意が必要です。
 商品やパッケージ、売り場で使用するPOP、販促物、ウェブサイト等のデザイン担当者との間でよく確認をしてください。

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 09 

販売(国内外)段階/権利活用
キーワード:登録商標の表示

   登録商標の表示の確認をしたか。

登録商標を使用する際には、その商標が登録商標であることを記載することが奨励されています。原則として、日本の商標法において、登録商標の表示は登録された商標と同一(相似を含む)についてのみ認められます。他人による商標権侵害を未然に防ぐためにも、できるだけ登録商標の表示をすることをお勧めします。
 なお、登録商標でない商標に、登録商標であるとの表示をした場合には、特に悪質な場合には不正競争防止法違反となりえますので注意が必要です。商標の担当者や商品・パッケージ等のデザイン担当者は、常に登録商標の表示が正しくされているかどうか確認しなければなりません。
 特に、日本の標準文字は海外のStandard Characterとは異なり、特許庁によって公報に掲載された文字で登録されたものとみなされます。よって、あらゆるフォントについてその言葉が登録されたという意味ではないことに注意してください。

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 10 

販売(国内外)段階/権利活用
キーワード:第三者への商標ライセンス

   他社にライセンスする場合、ライセンス契約は済んだか。

他社からライセンスの申し入れがあり、それを受け入れてライセンスする場合には、適切に契約を結ぶ必要があります。状況に応じて、対価の有無、ライセンスの範囲等を決定してください。

参考情報
「商標ライセンス可否の検討ポイント」については侵Q58を参照ください。

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 11 

販売(国内外)段階/権利活用
キーワード:侵害の早期発見、権利行使

   インターネット等や市場で権利侵害の監視をしているか。

実際に商標を使用した商品を販売していくと、模倣品や類似品が出回ることがよくあります。そのような場合には、商標権に基づいて権利行使をすることが可能ですから、定期的に市場調査を行い、侵害行為を早期に発見するよう努めるべきです。
 市場における侵害品のチェックは、販売代理店から情報提供を受けられるようなルートを作っておくといいでしょう。また、インターネットでは検索が比較的容易ですので、こまめにチェックすることにより、侵害が深刻になる前に発見できると思われます。

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 12 

販売(国内外)段階/権利活用
キーワード:模倣品の日本流入、税関登録

   海外からの模倣品がある場合には、その対策として日本の税関に商標を登録したか。

海外からの模倣品が日本市場に流入することを食い止めるには、税関での差止が有効です。日本の税関に税関登録をすることによって、商標権の侵害品を差し止めることができます。税関登録に必要なのは、海外で発見された模倣品の例と真偽識別ポイントです。税関登録された後には、税関は疑義貨物を発見した場合にそれを差し止めなければなりません。日本の税関登録手続きは他の国と比べて提出する情報量が多く、手間がかかることは否めませんが、登録された後の差止件数は大変多く、ほんの小さな郵便貨物でも差し止められます。もちろん、すべての侵害品を食い止めることは難しいですが、税関登録されていることによって模倣品の輸入流通を牽制する効果が認められると思われます。

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 13 

販売(国内外)段階/権利活用
キーワード:商標権侵害の警告書

   侵害に対して適切な権利行使をしているか。

侵害行為を発見した際に、多くの場合、警告書を送付すると思われます。明らかな商標権侵害であれば、警告書の送付によって行為が中止される場合もすくなくありません。侵害行為は拡大する前に早期にストップすることが効果的ですので、発見したら早急に何等かの方策を講じるべきです。

参考情報
「侵害発見時の対応方法」については侵Q14を参照してください。

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 14 

販売(国内外)段階/権利活用
キーワード:商標の適正使用

   商標管理の観点から商標の使用態様の確認をしているか。

商標は、使用されているうちに変更されていくことがよくあります。商標管理の観点から、使用態様の変更には注意が必要です。特に以下の点には注意しましょう。
・登録商標の表示:適切に登録商標の表示がされているか。
・登録商標との同一性:登録商標と同一の商標を使用しているか。(不使用取消審判を請求された場合には、登録商標と実質的同一の範囲での使用でなければ登録商標の使用とは認められず、登録が取り消されてしまいます。)
・他人の商標権の侵害:登録商標と同一の商標の使用であれば、他人の商標権を侵害することは通常はありませんが、登録商標と類似の範囲の使用、あるいは類似の範囲を超えた使用をすると、他人の権利を侵害するおそれもあります。そのようなことにならないよう、商標登録をしているからといって安心せず、常に商標の使用態様には注意しましょう。

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 15 

販売(国内外)段階/権利行使
キーワード:模倣品の早期発見

   海外での侵害を監視し、適切に対応しているか。

海外で商品を販売すると、模倣品、侵害品が出回りやすくなります。市場の監視、インターネットでの検索等で侵害を早期に発見し、対応する必要があります。展示会等で模倣品が販売されることも多いので注意が必要です。調査会社に調査を依頼することもできます。代理店からの通報を活用することも重要です。
 対応としては、税関登録、警告書の送付、行政摘発、刑事告訴、民事訴訟等が考えられます。
 事案の性質、状況に応じて適切な対応をすべきと思われます。
 ショッピングサイトでの侵害に対しては、直接サイト運営者へ削除を要求する等の措置を講じられる場合もあります。

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 16 

販売(国内外)段階/国内製造
キーワード:販売店に対する商標使用管理

   販売店との契約を締結したか。

販売店を通じて商品を販売する場合、商標に関しても契約を結んでおくことをお勧めします。
 販売する際に、商標を使用することがあり、それによって問題が生じるおそれもあるからです。包装を勝手に変更したり、ポスター等の販促物を作成する際に商標を変更したりということはしばしば見受けられることです。
そのような商標の誤使用によって権利者が不利益を被ることがないよう、また、商標が稀釈化される等商標の価値が減ずることもないよう、契約において商標の使用方法を定めることが必要です。

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 17 

販売(国内外)段階/国内製造
キーワード:不使用取消、使用証拠の確保

   使用証拠を保管しているか。

日本では、3年間登録商標を使用していないと取消審判によって登録が取り消されることがあります。従って、商標の使用の証拠を確保しておくことが必要です。最低でも3年以内の証拠を保管しておくことをお勧めします。使用証拠として有効なのは、日付が証明できる商品の写真(商標が付いているもの)、商標と商品が明記された領収書等の取引書類等です。
 代理店経由で販売を行う場合には、代理店から適宜使用証拠を入手しておく等の注意が必要です。
 カタログや広告も、日本では使用証拠となります。インターネットサイトでの販売に関する証拠も、使用証拠と認められますが、日付を確認できなければ証拠として有効ではありません。

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 18 

販売(国内外)段階/海外製造
キーワード:商標ライセンスの登録

   ライセンス登録が必要な国ではライセンスの登録をしたか。

外国では、ライセンスの登録をしないと、ライセンシーによる商標の使用が登録商標の使用と認められない国があります。そのような国では、不使用による取消審判を請求された際に、その国でライセンシーによる使用しかなく、かつライセンスの登録をしていないならば、登録が取り消されてしまいます。そのような事態を避けるために、ライセンスの登録をしておくことをお勧めします。
 このような事情でライセンス登録が必要な国は少なくありません。ほんの一例をあげると、ロシア、メキシコ、インドネシア等です。インドネシアでは登録申請はできますが、まだ受付システムが整備されていないため、登録はされません。それでも登録申請することをお勧めします。中国でもライセンス料を国外へ送金する場合にはライセンス登録の確認が必要なときがありますので留意してください。

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 19 

販売(国内外)段階/海外製造
キーワード:登録商標、®表示

   ®の表示をしているか。

外国で商標登録をしている場合には、®の表示について検討する必要があります。
たとえば、米国では®の表示をしていない場合、商標権侵害に対して損害賠償が難しくなることがあります。
 一方、実際に登録されていないにもかかわらず、他の国(たとえば日本)で登録されており、日本向けの商品をその国へ輸出するため、®がついたままで販売されることがあります。大抵の国では問題はないのですが、一部の国ではこれが虚偽表示とみなされることがあり、刑事罰を課されるおそれもあるということですので、念のため確認することをお勧めします。

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 20 

販売(国内外)段階/海外展開
キーワード:海外での税関登録

   海外の税関で商標の登録をしたか。

日本製品は世界から注目されており、評判もいいので、海外で販売を開始すると、あるいは海外で販売していなくても、外国で模倣品が出回ることがよくあります。そのような場合、模倣の状況や数量にもよりますが、税関に登録をすることが有効な場合があります。特に中国の税関では輸出も差し止めることができますし、税関が割合に有効に機能していますので、効果があるかもしれません。米国や欧州の税関でもよく模倣品が発見されます。
 税関登録にかかる費用、手続の煩雑さは国によって異なり、また実際に疑義物品が差し止められた場合の手続きも国によって異なりますので、事前に確認することをお勧めします。

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 21 

販売(国内外)段階/海外展開
キーワード:不使用取消、使用証拠の確保

   使用証拠を保管しているか。

日本はもとより、他の国でも、一定期間登録商標を使用していないと取り消されることがあります。従って、商標の使用の証拠を確保しておくことが必要です。最低でも3年以内の証拠を保管しておくことをお勧めします。使用証拠として有効なのは、日付が証明できる商品の写真(商標が付いているもの)、商標と商品が明記されたシッピングインボイスや領収書等の取引書類等です。
 特に、海外の代理店経由で販売する場合には、販売店から使用証拠を入手しておくことをお勧めします。
 カタログや広告は、国によっては使用証拠と認められません。インターネットサイトでの販売に関する証拠も、使用証拠と認められない場合がありますので注意が必要です。専門家と相談して証拠を保管されることをお勧めいたします。

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 22 

販売(国内外)段階/海外展開
キーワード:登録商標、®の表示

   ®の表示をしているか。

外国で商標登録をしている場合には、®の表示について検討する必要があります。
たとえば、米国では®の表示をしていない場合、商標権侵害に対して損害賠償が難しくなることがあります。
 一方、実際に登録されていないにもかかわらず、他の国(たとえば日本)で登録されており、日本向けの商品をその国へ輸出するため、®がついたままで販売されることがあります。大抵の国では問題はないのですが、一部の国ではこれが虚偽表示とみなされることがあり、刑事罰を課されるおそれもあるということですので、念のため確認することをお勧めします。

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 23 

販売(国内外)段階/海外展開
キーワード:商標ライセンスの登録

   ライセンス登録が必要な国ではライセンスの登録をしたか。

外国では、ライセンスの登録をしないと、ライセンシーによる商標の使用が登録商標の使用と認められない国があります。そのような国では、不使用による取消審判を請求された際に、その国でライセンシーによる使用しかなく、かつライセンスの登録をしていないならば、登録が取り消されてしまいます。そのような事態を避けるために、ライセンスの登録をしておくことをお勧めします。
 このような事情でライセンス登録が必要な国は少なくありません。ほんの一例をあげると、ロシア、メキシコ、インドネシア等です。インドネシアでは登録申請はできますが、まだ受付システムが整備されていないため、登録はされません。それでも登録申請することをお勧めします。中国でもライセンス料を国外へ送金する場合にはライセンス登録の確認が必要なときがありますので留意してください。

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 24 

製造・販売終了段階/他社権利対策
キーワード:ライセンス商品の販売終了、在庫品の処分

   他社からのライセンス契約を終了させたか。

他人から商標のライセンスをうけて商品の販売をしている場合、その商品の販売を終了することが決定したら、ライセンスの更新、終了の要否についても確認しましょう。在庫品の処分についても合意しておくことをお勧めします。

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 25 

製造・販売終了段階/権利取得
キーワード:商品の販売終了、商標権の更新見直し

   商標権の更新を中止したか。

商標の販売を終了し、その商標を将来使用する必要がないならば、登録を更新する必要はなくなります。次回の更新期限の際には更新は不要でしょう。

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 26 

製造・販売終了段階/権利行使
キーワード:商品の販売終了、在庫品の処理

   製造委託先との契約を終了させたか。在庫品の処理について確認したか。

販売を終了することが決定したら、製造委託先との契約も終了するか、見直す必要があります。今後その商標を付した商品を製造しないことはもちろん、もしも在庫品が委託業者にある場合にはその処理についても取り決めます。

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本QAは特許庁委託事業「外国産業財産権侵害対策等支援事業」において作成されたものです。
事業内容、免責事項等は本事業サイト(http://www.iprsupport-jpo.go.jp/)をご確認下さい。