Q80 米国出願中の案件において情報開示陳述書の提出が必要となると聞きましたがどのようなものでしょうか。

質問

米国出願中の案件に対応する日本出願において、日本特許庁より「拒絶理由通知」を受け取りました。このような場合、対応する米国出願案件について情報開示陳述書の提出が必要と聞きました。なぜ、提出する必要があるのでしょうか。情報開示陳述書とはどのようなものなのでしょうか。また、提出する場合に手数料が課されるのかについても教えて下さい。

回答

米国特許出願手続において、その出願に関与した人(発明者、代理人、譲受人等)は、当該特許案件の特許性に関する重要な情報(information material to patentability)について誠実に開示する義務を負います。これを、情報開示義務といいます。

この情報開示義務は当該特許案件が特許許可され発行されるまでの間継続しますが、再審査の手続きが開始した場合には、特許権者は引き続き情報開示義務を負うことになります。

 

重要な情報とは、その情報により、拒絶理由を形成するのに有用なもの、審査官が引用した先行技術よりもさらに技術的に近いもの、または出願人がすでに米国出願において行った主張と矛盾する資料等の情報であり、特許公報や刊行物の情報に限定されません。

また、情報の出所は限定されないため、対応する日本出願において引用された先行技術、拒絶査定等の通知等は、開示する必要があります。

このような情報開示義務を果たすために米国特許庁に提出する書類のことを「情報開示陳述書」(IDS:Information Disclosure Statement)と言います。

 

もし、その出願に関与した人が、知っている重要な情報を米国特許商標庁に対して提出しなかった場合は、不公正行為(Fraud)があったとして、特許が認められなかったり権利行使が認められなくなる恐れがあります。

お問い合わせの件では、対応する日本出願について日本の特許庁から「拒絶理由通知」を受け取ったとのことであれば、特許性に影響を及ぼす重要な情報となるため「情報開示陳述書」(IDS)の提出が必要となると言えます。

 

「情報開示陳述書」(IDS)は提出の時期により有料となる場合と無料の場合があります。出願から3か月以内または最初のオフィス・アクション(拒絶通知)の発送前は無料です。

最初のオフィス・アクション後で、許可通知またはファイナルオフィス・アクション(最終拒絶通知)の発送前は、以下の①、②に該当する情報を除き、提出は有料となります。

  • ①その情報が外国の特許庁によって3か月以内に引用された情報で、その旨の申告があるもの
  • ②情報開示義務を負う人が誰も3か月以内に知らなかった(3か月以内に発見された)情報で、その旨の申告があるもの
 

特許許可通知が出された後でも、特許発行料を払う前に、有力な先行技術が見つかった場合は、上記①、②の情報の提出については有料となります。

参考情報

その他の国における対応出願の情報開示義務については、制Q63制Q86制Q87制Q135をご参照下さい。

本QAは特許庁委託事業「外国産業財産権侵害対策等支援事業」において作成されたものです。
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